女優・財前直見が「デジタル全盛時代にアナログで記録」をオススメする理由。家族の安心をどう守る?
更新日:2020/9/1
第一線の女優として活躍しながら、終活ライフケアプランナーなど6つの資格を持つ財前直見さん。50冊以上並ぶという彼女の手作りファイルの中でも、特別な1冊があるといいます。それを語るのが『自分で作る ありがとうファイル』(財前直見/光文社)。財前さんは、現在シングルマザーとして、大分の自宅で両親と息子と家族4人で暮らしています。
家族全員の「虎の巻」ともいえる、すべての情報を1冊にまとめたファイルの内容は、お金に関係すること(預貯金、口座自動引き落とし、クレジットカード、借入金、賃貸、不動産、保険、有価証券、年金)、もしもの時のこと(普段の健康管理、事故にあった時や亡くなった時、遺言書について)、そのほか、ペットのこと、ファミリーヒストリー、死亡後にやることのチェックリストなど多彩です。
たとえば自然災害にあい、すべての家財を持ち出せなかった場合、それぞれを瓦礫の中から探し出すのは非常に大変なこと。家族の情報をまとめた1冊のファイルがあれば、それさえ持ち出すことができればそれぞれのモノを失ってしまったとしても、そのあとの作業や手続きはだいぶ楽になるでしょう。
このファイルの中には、カード類を並べてコピーしたページや、パスワードを記載したページもあります。たとえば交通事故などにあい、誰かに手続きをお願いすることになった場合、スマホやパソコンで管理している情報は、端末のパスワードがわからなければ手に入りません。また、色々なサービスのパスワードは、自分でも忘れてしまうことはありませんか?
デジタルに関することもアナログで予備記録しておくことをすすめるのが、財前さん。この大事なファイルは、いざという時すぐに取り出せるように、家族共通の秘密の場所に保管しているそうです。
家族に面と向かって「エンディングノートを書いて」と言うより、「便利だから一緒に作りましょう」と誘いやすいのも「ありがとうファイル」の魅力です。大事な人が亡くなってしまったら、悲しみに浸る中でもしなくてはならないことは山ほど出てきます。「もしもの時」に備えたページは家族の負担を減らす大事なツール。あとに残る人たちが安心できるように、整理された形で残してあげることが現代のマナーだと財前さんは語ります。
本書には「ありがとうファイル」をすぐに作れるようQRコードがついています。フォーマットのPDFデータをダウンロードしたら、自分が必要なところをプリントアウトして使ってみましょう。財前さんは家族4人分を1冊のルーズリーフ式のクリアファイルにまとめています。これならば簡単にページ追加もできるし、必要なページだけ外出先に持ち出すこともできるので便利そうですね。シールを貼ったり写真を入れたり、財前さんのファイル作りはなんだか楽しそう。
53歳の財前さんは、このファイルを作ることで、「いざ」という時の安心感を得たと言います。お金の見直し・リセットのきっかけにもなり、うちの家族っていいな! と改めて感じることができたのもよかったと述べています。本書では、財前家のライフプランやお母さんの味レシピ、実際的な介護問題についてなど、実際のファイルも公開しています。財前さんの真面目さやあたたかさがページごとに伝わってくる、楽しくて役立つ1冊です。
文=泉ゆりこ