「スピリチュアルってうさんくさい」は本当か? 500名以上の専門家を取材して見えてきた本質とは
公開日:2019/7/3
「スピリチュアル」という言葉が一般的に使われるようになってから、かなりの年月がたっています。この言葉が使われるようになる前には、目に見えない世界や、その周辺領域を表現するために、どのような言葉が使われていたのかご存じでしょうか? 答えは「精神世界」や「霊性」。これらの言葉は1990年代後半まで使われており、そこから徐々にスピリチュアルという言葉が浸透してきて、2000年代前半にはスピリチュアルというキーワードが広く知られるようになったのだそうです。
こう見ると、今から15年以上前からスピリチュアルという言葉は、使われているわけです。こうした、目には見えない世界の歴史や受け取り方を知ることができるだけでなく、多くのスピリチュアル著名人の思想についても知ることができるのが、『精神世界の歩き方』(小笠原英晃/BABジャパン)。サブタイトルに「スピリチュアルリーダーたちから教わったこと」とあることからもわかるように、著者が30年以上にわたって取材し追究してきた、スピリチュアルな世界のエッセンスが凝縮された1冊となっています。
「スピリチュアル」という言葉が一般的になったのと同時に、なんとなく「うさんくさい」、あるいは「お手軽でふわふわしたもの」というイメージを持っている方もいるかもしれません。また、スピリチュアルな世界、すなわち目には見えない領域にのめり込んでしまうと、ともすれば自分を見失い、エゴを暴走させてしまうということも起こりえます。そうなってしまうと、最悪の場合にはカルト集団を形成したり、そこまで暴走しなくとも、周囲の人間関係から浮いてしまい正常な日常生活を送るのが難しくなるというケースも、起こりえます。
そんな状況に対して本書は、「どんなにすばらしいスピリチュアルな理念や理想に触れたとしても、その解釈と運用を誤ると、目指す方向とは真逆に進むこともある」と説きます。30年以上にわたってスピリチュアルな世界に身を置き、多くの専門家の言葉を聞いてきたからこその客観的な言葉でしょう。
では具体的にエゴを暴走させてしまわないようにするためには、どうすればいいのでしょうか? そのヒントが、「地に足のついたスピリチュアリティ」です。それがはたしてどのようなものなのかを、本書では「本当の自分」「スピリチュアリティ」「自然・宇宙」「愛」などの章ごとに、それぞれの分野の専門家の言葉や著者の体験を通して、さまざまな角度から教えてくれます。
『精神世界の歩き方』というタイトルから、スピリチュアル初心者向けの本のように思う方もいるかもしれませんが、本書は、スピリチュアルな世界について詳しい人、あるいはその道で生きていこうという人にとってもより良く生きる道しるべとなるような内容です。スピリチュアルな世界に興味関心がある方は、本書を通して、「自分のスピリチュアリティは、地に足がついているだろうか?」と考えるきっかけにもなるでしょう。
文=龍音堂