自分の価値を上げる「職業の掛け合わせ」の法則! 西野亮廣『新・魔法のコンパス』⑥

ビジネス

公開日:2019/7/10


“現代の革命家”西野亮廣氏の10万部のベストセラー、『魔法のコンパス』から3年。時代に対応し、西野氏が「1時間前後で読める本にする」という意図で執筆した文庫本が『新・魔法のコンパス』(KADOKAWA)だ。めまぐるしくルールが変わる現在、そして未来の歩き方とは?

【第1章 お金】

「職業の掛け合わせ」でキミの希少価値を上げろ。

『1万時間の法則』という法則があるんだけど、これがなかなか面白い。

 内容をザックリ説明すると、「一つの分野に『1万時間』費やせば、100人に一人の人材になれますよー」って話。あくまで目安ね。

 1万時間というと、毎日9時間頑張って……3年くらいかな。

 たとえばキミが3年間毎日9時間「お笑い」の学習を続けていれば、キミは「100人に一人」の人材にはなれる。

 ただ、厳しい話、「100人に一人」って、そこまで大したことじゃないんだよね。

 吉本興業には現在6000人の芸人が在籍しているんだけど、皆、お笑いに1万時間を費やした「100人に一人」の人材ばかりなんだもん。

 そして、多くの芸人がこの中で競争を始める。

 だけど、この中での勝敗は、自分の中のプライドや、自分の半径30メートル以内の人達の評判には反映されるけれど、収入には、それほど反映されない。

 希少価値がそれほど上がらないからだ。

 もちろん「100人に一人」の人が集まった集団のトップになれば希少価値も上がるけど、「100人に一人」の人はそれなりのレベルに達している人なので、その中で勝ち上がっていくことは極めて難しい。

 事実、吉本興業の芸人で、「お笑い」だけで食えているのは、1割 にも満たない。

 残り9割は、アルバイトで食いつないでいるのが現状だ。

 一つの分野で戦い続ける(専業)という選択は、『希少価値を上げにくい争いに参加している』と考えたほうがいい。

 じゃあ、どうやって効率良く「希少価値」を上げるの?

 キミの希少価値を効率良く上げる方法がある。

 たとえば、キミが最初に1万時間を費やしたポイントを『A』とする。

 キングコング西野の場合だと『A』は「お笑い」だね。

『A』に1万時間を投下して、「100人に一人」の人材になったならば、次は、まったく違う分野『B』に乗りこんで、そこで1万時間を費やす。

『B』でも「100人に一人」の人材になるわけだ。

 キングコング西野の場合だと『B』は「絵本」かな。

 この『A』と『B』の両方を兼ねている人間は、「100人に一人×100人に一人」なので、1万人に一人。

 この瞬間に希少価値が一気に上がる。

 漫才ができる絵本作家は「1万人に一人」しかいないわけだ。

 絵本業界の話を面白おかしく語れる人材も「1万人に一人」。

 今、日本で「芸人×絵本」の仕事は、大体「キングコング西野」に転がってくる。

 分かるよね?

 ここでのポイントは、『A』と『B』は、なるべく離しておくこと。

『A』と『B』を結ぶ線上が仕事の需要だから、たとえば『サッカー』に1万時間を費やして、『フットサル』に1万時間を費やしても、細かく見れば、「1万人に一人」の人材には違いないけど、仕事の幅は狭い。

 目安としては「◯◯のクセに」と揶揄されるぐらいが丁度イイ。

「芸人のクセに絵本を描きやがって……」

「タクシードライバーのクセに英会話講師をしやがって……」

 こんな感じで、掛け合わせる職業はなるべく離しておいたほうがいい。

「移動中に英会話レッスンができる個人タクシー」なんてメチャクチャ重宝されると思うよ。

 さて、本題はココからだ。

■まとめ
「100人に一人」の人材は大したことじゃない。
一つのジャンルで戦い続ける「専業」は希少価値を上げにくい争いに参加している。
掛け合わせる職業はなるべく離しておいたほうがいい。

<第7回に続く>

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