第161回芥川賞は今村夏子の『むらさきのスカートの女』に、注目の直木賞は大島真寿美の『渦 妹背山婦女庭訓 魂結び』に決定!
更新日:2019/7/17
第161回芥川賞・直木賞(日本文学振興会主催)が発表された。選考会は7月17日(水)、東京・築地の新喜楽で開かれ、「芥川龍之介賞」は今村夏子の『むらさきのスカートの女』に、「直木三十五賞」は大島真寿美の『渦 妹背山婦女庭訓 魂結び』に決定した。
【第161回芥川賞受賞作品】
【あらすじ】
近所に住む「むらさきのスカートの女」と呼ばれる女性のことが、気になって仕方のない“わたし”は、彼女と「ともだち」になるために、自分と同じ職場で彼女が働きだすよう誘導する。『あひる』、『星の子』が芥川賞候補となった著者による新作中篇。
【プロフィール】
今村夏子(いまむら なつこ)●1980年広島県生まれ。2010年「あたらしい娘」で太宰治賞を受賞。「こちらあみ子」と改題、同作と新作中短編「ピクニック」を収めた『こちらあみ子』で2011年に三島由紀夫賞受賞。2017年『あひる』で河合隼雄物語賞、『星の子』で野間文芸新人賞を受賞。
【第161回直木賞受賞作品】
【あらすじ】
虚実の渦を作り出した、もう一人の近松がいた──
「妹背山婦女庭訓」や「本朝廿四孝」などを生んだ人形浄瑠璃作者、近松半二の生涯を描いた比類なき名作!
江戸時代、芝居小屋が立ち並ぶ大坂・道頓堀。
大阪の儒学者・穂積以貫の次男として生まれた成章。末楽しみな賢い子供だったが、浄瑠璃好きの父に手をひかれて、芝居小屋に通い出してから、浄瑠璃の魅力に取り付かれる。近松門左衛門の硯を父からもらって、物書きの道へ進むことに。
弟弟子に先を越され、人形遣いからは何度も書き直しをさせられ、それでも書かずにはおられなかった半二。
著者の長年のテーマ「物語はどこから生まれてくるのか」が、義太夫の如き「語り」にのって、見事に結晶した長編小説。
筆の先から墨がしたたる。
やがて、わしが文字になって溶けていく──
【プロフィール】
大島真寿美(おおしま ますみ)●1962年愛知県生まれ。92年「春の手品師」で文學界新人賞を受賞しデビュー。2011年刊行の『ピエタ』は第九回本屋大賞第三位。
■第161回芥川龍之介賞の全候補作はこの5作品
・今村夏子『むらさきのスカートの女』(小説トリッパー春号)
・高山羽根子『カム・ギャザー・ラウンド・ピープル』(すばる5月号)
・古市憲寿『百の夜は跳ねて』(新潮6月号)
・古川真人『ラッコの家』(文學界1月号)
・李琴峰『五つ数えれば三日月が』(文學界6月号)
■第161回直木三十五賞の全候補作はこの6作品
・朝倉かすみ『平場の月』(光文社)
・大島真寿美『渦 妹背山婦女庭訓 魂結び』(文藝春秋)
・窪美澄『トリニティ』(新潮社)
作品レビューを公開中▶女に必要なものを3つ選べる? 「男、仕事、結婚、子ども」それぞれを選んだ女性はどう生きたか
・澤田瞳子『落花』(中央公論新社)
・原田マハ『美しき愚かものたちのタブロー』(文藝春秋)
「ダ・ヴィンチ」今月のプラチナ本で紹介▶「今月のプラチナ本」は、原田マハ『美しき愚かものたちのタブロー』
・柚木麻子『マジカルグランマ』(朝日新聞出版)
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