「週末何もせずダラダラ…」は心の危険信号かも! 会社で教えてもらえないストレス発散法
公開日:2019/7/19
パワハラ、残業、職場の人間関係にまつわる悩み…。一生懸命まじめに仕事をしていれば、多種多様なストレスにぶつかるのは当たり前だ。問題は、誰もがぶつかるストレスをどう予防し、対処するかである。ストレスを抱えてモヤモヤがたまった脳みそから良いものは生まれないだろうし、おそらく無駄な時間もかかってしまう。おまけに、ミス連発…なんてことになりかねない。
本書『会社では教えてもらえない 集中力がある人のストレス管理のキホン』(川野泰周/すばる舎)は、そんな事態を防ぐための“ストレス管理”に注目した1冊だ。著者は、禅僧であり精神科医でもある川野泰周氏。マインドフルネスの考え方をベースに、日常生活で意識して実践できるストレス管理の基本を解説する。
■マインドフルネスで「今、この瞬間」に集中。その方法は?
最近耳にする機会が多い「マインドフルネス」。本書によれば、マインドフルネスとは「今この瞬間に、価値判断することなく、注意を向ける」ことだという。だが、この説明だけではまだ理解しづらいかもしれない。もう少し詳しく説明すると、「目の前の体験(たとえば、仕事)だけに集中し、余計なことを考えずにそれに取り組む」…といったところだろうか。
マインドフルネスは、「理入」と「行入」、ふたつのアプローチから実践することができる。「理入」とは、理論や知識からの理解。たとえば、自分の心理状態を見つめなおして、「○○だから、イライラしているんだ」と認識すること。「行入」は、行動からの理解だ。瞑想をしたり、呼吸を整えたりすることで、「今この瞬間」の行動に集中する。このふたつを日常生活に取り入れることで、モヤモヤしていた脳をクリアにしていくことができる。
■「週末疲れてぐったり…」は心の危険信号かも?
平日の仕事をなんとか終え、週末は家でゴロゴロダラダラ…というサイクルを送っている社会人は多いだろう。それ自体は問題ないのだが、きちんと睡眠をとっても「体の疲れがとれない」と感じていたら、注意が必要だ。
本書によれば、現代人の生活スタイルによって問題になるほど体に疲れが急激にかかることはほとんどないという。だが、一日中屋内でデスクワークをしているのに、どっと疲れてしまう…と感じている人は“心の疲れ”を疑ったほうがいい。
心の疲れの正体は、ノルアドレナリンやドーパミンといった「やる気物質」の枯渇とも言われている。そこで、著者がおすすめしているのが「ボディスキャン」という方法だ。仰向けになり、痛みを感じている部分を順番に“スキャン”する。頭、胸、胃…と、ひとつひとつの部位に意識を向け、深呼吸をしながらリラックスしよう。そうすると、疲れていたのは体じゃなく心だったんだ、と気づくきっかけにもなる。これも、マインドフルネスのひとつだ。
筆者はまさに「週末ぐったり」しているときに本書を読んだので、痛いところを突かれた気分だった。他にも、「通勤電車で寝るのはNG」など、社会人なら多くの方々が心当たりのありそうな内容と、その対処法がたくさん紹介されている。ストレスを感じるのは、自分が今がんばっていることの証拠でもある。そのストレスをうまくコントロールし、乗り越えてゆけば、あなたの実力も伸びていくはずだ。
文=中川凌