累計発行部数70万部超の続編!『ちょっと今から仕事やめてくる』の珠玉の裏エピソード
公開日:2019/7/25
仕事に悩み苦しむ多くの人に感動の嵐を巻き起こした北川恵海による小説『ちょっと今から仕事やめてくる』。累計発行部数70万部、福士蒼汰&工藤阿須加出演で映画化もされたこの大ヒット作の待望の続編が発売される。『ちょっと今から人生かえてくる』(ともにKADOKAWA メディアワークス文庫)は、前作で語られなかった、珠玉の裏エピソードを描いた感動ストーリー。前作と同様、日々に忙殺され、どうして働いているのか、その意味すら見失っているビジネスマンにこそ手にとってほしい作品だ。
物語は、印刷会社に勤める五十嵐諒の視点で始まる。五十嵐諒といえば、前作『ちょっと今から仕事やめてくる』の主人公・青山隆の上司として登場し、青山を苦しめた張本人でもある。「どうしてそんな人物が続編の主人公なの?」と思いながら、ページを読み進めたが、読めば読むほど、五十嵐を憎む気持ちが静かに消えていった。そうか。ブラック企業では、人はこうやって自分自身を見失ってしまうものなのか。前作で悪役になってしまった五十嵐にも、悪役にならざるを得なかった悲劇があるのだ。
パワハラ気味の部長の下で、日々、営業としての仕事をこなしている五十嵐は、いずれは出世して、この会社のブラックな体制を変えたいという思いを抱えている。だが、仕事はとてつもなくキツイ。自分のせいで後輩の青山隆は会社を辞めることになってしまったし、そのことを思い出すと、夜も満足に眠れない。ある日、ついに、通勤途中に胃が痛くて身動きが取れなくなってしまった五十嵐は、「ヤマモト」と名乗る男に助けられた。関西弁で気さくに話し掛けてくる「ヤマモト」は、五十嵐の会社に電話をかけてきては、ことあるごとに彼を外へと連れ出す。久しぶりに心を許せる相手ができた五十嵐は、次第に前向きな気持ちを取り戻していくのだが…。
そう、五十嵐を救うのは、前作でもおなじみのあの「ヤマモト」だ。あの明るい口調に、五十嵐の心だけでなく、読者も心が救われたような気持ちになる。「ヤマモト」の話を聞いていると、とってもちっぽけなことで悩んでいたような気持ちになる。今勤めている会社に延々と勤め続けることだけが人生ではない。今の仕事にこだわり続けて、体を壊しては元も子もない。「ヤマモト」は私たちが忘れていた当たり前のことを思い出させてくれる。
そして、五十嵐は、青山と対面することになるのだが…。五十嵐と青山、そして、ヤマモト。その他、彼らと出会った人たちの物語が、新しく始まっていく。北川恵海の描く物語はどうしてこんなにもあたたかく心に染み渡るのだろう。この本は、仕事に悩み、日々に迷う人たちに勇気を与える人生応援ストーリー。働くことに何だか疲れを感じた時、この本はあなたを癒してくれるに違いない。
文=アサトーミナミ