腸活でぽっこりおなかを撃退! 腸の名医が教える便秘解消・腸活術

健康・美容

更新日:2019/7/25

『医師が教える 1分腸活』(小林弘幸/自由国民社)

 便秘とダイエット。この2つの関係が深いことは多くの人が知るところです。便が出ないとポッコリおなかが目立ちます。でも、それだけではありません。便秘は「脂肪を増やす」のです。ですから、やせたいのであればまず、便秘を解消し「腸の活性化」を目指すべきなのです。

 このような最新のダイエット理論を教えてくれたのは、順天堂大学医学部教授の小林弘幸先生。小林先生は、日本で初めて「便秘外来」を開設した腸のスペシャリストです。これまで『医者が考案した「長生きみそ汁」』(アスコム)や、『自律神経の名医が実践 「寝入りが9割」の睡眠技術』(ポプラ社)など、数々のベストセラーを執筆されてきました。

 この度、小林先生が、満を持して発表された新著『医師が教える 1分腸活』(自由国民社)に、手軽に腸を活性化させ、便秘を解消させるアイデアがいくつも記されています。この新刊より便秘を改善する方法をいくつかご紹介します。

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■便秘はやせにくい体をつくる

 その前に、なぜ便秘で脂肪が増えるのか。そのメカニズムをご紹介します。簡単に説明をすると、便がスムーズに排出されないと、血流に異常をきたし、脂肪が付きやすくなるからです。

 便秘とは腸のなかに長いこと便が留まっている状態です。すると有害物質が発生し、栄養が不足した「質の悪い血液」が体内を循環することになります。このような質の悪い血液は、本来、全身の細胞にくまなく運ばれる栄養を届けにくくします。すみずみに届いたとしても、質が悪いため、栄養は細胞に取り込まれません。するとその血液は、皮下の「脂肪組織」などに「蓄積」されていくのです。だからドンドン太って「やせにくい体」になってしまうのです。

 ちなみにこの有害物質にまみれたドロドロの血液の影響は、脂肪の蓄積だけではありません。全身に栄養が届かないとなると、皮膚の代謝が落ち、肌がくすむ原因にもなります。

 さらに便の重み自体が、腸を不健全にします。通常、腸には約3kgの宿便があると言われています。そこに毎日のように便秘がかさなると、腸は「むくんで」「伸びて」「垂れ下がって」きます。ポッコリおなかの原因は、宿便が次々と積み重なることにあるのです。

■便秘外来の医師が直伝!

 ダイエットの大敵である便秘を解消するには、手っ取り早く便秘薬を飲むということも考えられます。しかし、薬はその場しのぎです。長期にわたって本当に「やせやすい」体をつくるには、「自律神経」を整えることと小林先生は、言います。腸と自律神経は、深く関係しているのです。

 自律神経がなぜ腸に大切かというと、便を排出する「腸の動き」そのものに影響をあたえます。小林先生は、この自律神経の力を使って便秘を解消、さらには太りづらい体を目指しています。

 自律神経には、2極の機能があります。リラックス状態にある時の「副交感神経」と、興奮状態にある時の「交感神経」が交互に作用します。便秘に関係するのは、「交感神経」です。寝ているときは、副交感神経が優位。朝、目が覚めると交感神経が優位になります。しかし、全員がこの切り替えがうまくいっているわけではありません。

 特に寝起きの悪い人、朝食を食べない人などは、交感神経の誤作動を起こしやすいです。これは便秘には大敵です。なぜなら、朝こそ排便に最適な時間であり、便を溜め込まない絶好の機会だからです。遠回りのようですが、自律神経の働きを整えることは「腸の働き」を活性化させることにもっとも適しています。では、具体的にどのように自律神経を整えればいいのでしょうか。

■「30分」の早起きが腸に良い

 自律神経を整え便秘を解消するために、まずすべきことは、朝「30分」だけ早起きすることです。なぜ早起きが便秘と関係するかというと、起床後に自律神経を徐々に「副交感神経」から「交感神経」に切り替えるためです。もしも、起床後にバタバタと慌ただしく過ごすと、交感神経が一気に高まり、その日1日の自律神経のバランスが不安定になります。ということは、腸が働き出す「スイッチ」が伝わらないということです。まずは1週間、30分だけ早起きをして、ゆっくりと目を覚ましましょう。これで、あなたが生まれ変わります。具体的には、下の7つの項目を実践できれば、なお良いです。

 腸の働きを良くする7大活動
1.簡単ストレッチで腸の目覚まし
2.朝日を浴びて体内時計をリセット
3.コップ1杯の水を飲み、腸を刺激
4.バナナ1本でも朝食を摂る
5.1杯の簡単みそ汁をつくる
6.トイレタイムをつくり排便リズムをつくる
7.ニッコリほほえんで腸を元気に!

■出なくても「トイレタイム」は必須

 便秘の人に特に意識してもらいたいのが「6」の「トイレタイム」を設けること。便意がなくても、「便座に座る」ことが大切なのです。

「毎朝、こうした時間をつくることで自然と排便がうながされますので、このリズムを体に覚えさせましょう」と小林先生は言います。朝食後は、意識してトイレタイムを設けましょう。

 トイレタイムでは、なるべくリラックスして焦らないこと。無理に排便しようとすると、交感神経が高まりさらに出にくくなります。排便には副交感神経を高めた方がいいのです。

 もし便意がないなら、腸マッサージで排便をうながしましょう。大腸は下腹部に大きな四角を描くように位置しています。便がとどこおりがちになるのは、カーブしている四隅。下の「大腸もみほぐし」と「腸に効くツボ」押しを行ってみましょう。

■大腸を知り、実践したい刺激法

便が溜まりやすい4カ所。肋骨の下、腰骨の近く、それぞれの左右

便が溜まりやすい大腸の四隅を、左右のわき腹と下腹部を手でギュッとつかんでもみほぐす。上下交互に行う

おへそから指3本分ぐらい「真横」にあるのが「天枢(てんすう)」。「天枢」から指3本分下に下がったところにあるのが「大巨(だいこ)」。それぞれをこぶしでギュッと押し込むように刺激

■やれるところから、取り組もう

 しかし、小林先生は上記のすべてをパーフェクトに行う必要はないとも言います。「やれるところから挑戦してみよう!」という気持ちで取り組んでみてください。なぜなら、腸を整えようとするあまり、ストレスを抱えることが、もっとも良くないこととされるからです。つまり、毎日ゆったり、笑顔で過ごすことも大切。

 また腸を活性化させるメリットは、ダイエットだけにもとどまりません。先ほど述べた肌の状態を良くするなど美容にも影響をあたえます。さらに腸が免疫器官であることは知られているでしょう。腸内が整っていれば、体を感染症から守ります。加えてメンタルにも腸はとても大切です。腸は幸せホルモンと呼ばれる「セロトニン」など、たくさんの神経伝達物質を生成する器官でもあります。

 腸を整えると、人生が「超」変わります。けれど難しくはありません。先生の著書をみれば、とっても手軽だということがわかるでしょう。「『あと、ひと押し!』のときには便座エクササイズ」「腸が喜ぶ食習慣」「腸が喜ぶ習慣」「腸を元気にするストレッチ」などを通して、疲れ知らずのはつらつとした日々を手に入れましょう。

文=武藤徉子