夏の献立はこの1冊で解決! 「賛否両論」笠原将弘氏が責任編集した、旬をまるごと食べるレシピ【作ってみた】
公開日:2019/7/26
ジメジメとする長雨が続いたあとの本格的な夏到来、気温の変化にも体が対応できず、ダルい、重い、なかなかやる気がおこらない、となってはいないだろうか。すると献立を考えるのも億劫になり、毎日のように手抜き料理が続いてしまったりする。
なんとなく体調不良を感じたら、ぜひ手に取ってみてほしいのが『笠原将弘のいちばんおいしい夏レシピ』(笠原将弘/主婦の友社)。予約が取れない和食店「賛否両論」の店主・笠原将弘氏が責任編集した、ラクに&気軽に作れる夏の料理をまとめた1冊だ。
本書には、トマト、かぼちゃ、なす、きゅうり、とうもろこし…と夏に旬を迎える野菜たちが主役の料理が満載。どれも特別凝ったものはなく、シンプルな材料でパパッと作れるものばかりが並ぶ。「家庭での夏の料理はできるだけ頑張りすぎずに調理してもらいたいと思っています。薬味で香りや華やかさを加えたり、辛みや酸味に頼った一点突破型のひと皿をつくってみたり。工夫次第でそうめんだって堂々と夕食にできるんですよ」と笠原さん。
夏の野菜は、うまみも栄養も満点! バテた体を食生活で乗り切るべく、気になるレシピを実際に作ってみた。
「なすと鶏もものみそしぎ」( p.13)
まずは夏野菜の大定番、なすを使った1品。フライパンにサラダ油を熱し、ひと口大に切った鶏もも肉を皮目を下にして焼く。焼き目が付いたら上下を返し、乱切りにしたなすと斜め薄切りにしたねぎを加えて炒める。野菜がしんなりしたところで、みそ、酒、砂糖、しょうゆ、水を合わせた調味液を加え、全体によく絡んだら完成。
なすには皮の部分に疲労回復効果のあるポリフェノールが含まれているという。こちらの1皿はなすとともに鶏肉もたっぷり入っていて食べ応え十分! 甘辛い濃いめのみそ味で、白いごはんがどんどん進む。仕上げに糸唐辛子を飾れば、おもてなし料理にも◎。これなら「なんとなくダルい」というときでも、しっかりパワーチャージできそうだ。
「トマトと鶏胸肉のたたき」(p.15)
2品目は甘酸っぱいトマトが主役の前菜。トマトは薄切りに、万能ねぎ、青じそ、みょうがはそれぞれ細かく刻む。鶏胸肉は皮を除いて厚さ5mmのそぎ切りにし、塩を振って強火に熱したフライパンで両面をさっと焼く。トマトと鶏肉を皿に盛り付け、その上から薬味を全体に散らし、しょうがのすりおろし、サラダ油、酢、みりん、しょうゆを合わせたタレを回しかけ、最後にいり白ごまを振ればできあがり。
完成した1皿のなんと彩りあざやかなこと! この料理がテーブルに並ぶだけでパッと食卓が明るくなる。口に運べばトマトの酸味としょうが風味の甘酸っぱいタレが食欲を増進。後からふんだんに散らした薬味のさわやかな香りが追いかけてくる。じめじめと暑い夏にさっぱりと食べられる清涼感あふれる1品だ。
「シャキシャキみょうが豚しゃぶうどん」(p.76)
最後は夏バテ気味でもツルッと食べられる喉ごしのいい麺レシピ。冷凍うどんを熱湯で解凍し、冷水で洗って器に盛る。その上に鍋で湯がいてしゃぶしゃぶにした豚肉を乗せ、千切りにしたみょうがをたっぷりとあしらい、ゴマ油を回しかければあっという間に完成。本書には昆布、削りがつお、煮干しを使った笠原流のめんつゆレシピも掲載されている。
豚肉×みょうが×うどんのコラボ。シンプルながら案外試したことのない組み合わせではないだろうか。これがベストマッチで、みょうがのさわやかな風味と小気味よい食感が心地よく、最後に回しかけたごま油もいい仕事をしている。肉料理はちょっと重い…と感じるような日もきっと楽しく完食できる1杯だ。
頑張りすぎないで調理をしたいこの時期の献立は、薬味をうまく使ったり、酸味や辛みを利かせたりといったひと工夫で、食べやすさもおいしさもぐんとアップ。本書にはこの時期特有の体の不調を解消するヒントがたっぷり詰まっている。
実際作ってみて感じたのは、料理自体はどれもシンプルなのだが、食材の組み合わせや調味料の配合、調理手順と細かいところに笠原流がちりばめられていること。食してみると分かるが、どのレシピも味のバランスが絶妙。さらに旬の食材のうまみもちゃんと引き出されている。
レシピ通りに作るだけで、おいしく夏を乗りきれる鉄板の夏レシピ。プロ直伝の家庭料理に家族もきっと太鼓判を押してくれるはず!
調理・文=齋藤久美子