日本一の筋肉美女・安井友梨さんに聞く! 30代からのぽっこり下腹撃退法
公開日:2019/7/30
鍛え上げられた美しい筋肉に、キュッと引き締まったウエスト、女性らしい丸みのあるヒップライン。その全てを兼ね備えたボディで見る人を虜にする、安井友梨さん。
安井さんは、ほどよく筋肉がついた健康的なプロポーションを競うスポーツ「フィットネスビキニ」において、4年連続で日本一に輝いた偉業の持ち主。2019年6月には「フィットネスビキニ」のトレーニングを、一般的なボディメイク用にアレンジして紹介する著書『究極の太らない体を手に入れる ユリ式筋トレ トレーニングDVD付き』(KADOKAWA)を出版しました。
体型に悩む女性にとっては、遠い世界の人に思えるかもしれませんが、実は安井さん自身もかつては体重が70キロ近くあり、繰り返しダイエットに失敗していた1人。ぽっちゃり体型からたった10カ月で「フィットネスビキニ」のチャンピオンになったというのだから、驚きです。そんな安井さんのもう1つの顔は、外資系金融機関の営業職として働くOL。今回のインタビューも「ゴールドジムサウス東京ANNEX店」(東京・大森)にて、仕事帰りのトレーニングを終えた後にご対応いただきました。
10カ月でいかにして安井さんがビキニクイーンになったのか、女性が筋肉をつけるとどんなメリットがあるのか。さらには腹筋運動なしで下腹の脂肪を撃退する方法や、ダイエットを成功に導く日々の心構えまで、幅広くお話を伺いました。
体重約70キロから10カ月でビキニクイーンへ…最初のきっかけは母
――「フィットネスビキニ」に挑戦しようと思われたきっかけを教えてください。
安井友梨さん(以下、安井):元々、祖母が100キロ、母が80キロ、私も70キロぐらいあって、代々太りやすい家系だったんです。物心ついた頃からあらゆるダイエットをやってきて、でも成功したことは一度もなくて。30歳になった時に、本気でやってみようと思わせてくれたのは、母でした。母がジムに通い始めて、半年ぐらいで20キロほどヤセたんです。「同じ血が流れているんだから私にもできるかもしれない」と思って、母に連れられて同じジムに通い始めたのが本当の始まりでした。
でも私はジムに入会しても全然ヤセられなくて。というのも、お風呂に入るためだけに行っていたんですよ(笑)。そしたら、ジムの方から目標にする人の写真を持ってきてほしいと言われて。ちょうどその頃、「フィットネスビキニ」の第1回大会があって、優勝者が一般人なのにすごく健康的なのを目にして、「私が求めているのはこれだ!」と思ったんです。「これに出るって決めればヤセられるかな」みたいなすごく安易な考えでした。
その後、「フィットネスビキニ」の優勝者と同じジムに行けば、この体になれるかもしれないと思って、すぐに電話して、次の日にはそのジムに入会することになったんですけど、「優勝するってここで宣言したら受け持ちます」「『フィットネスビキニ優勝への道』というブログを始めてください」と言われて。ブログなんてやったこともなかったんですけど、そこまで言われたらもう引き下がれないと思って。清水の舞台から飛び降りるような気持ちでした。
「何歳からでも変われる」30歳を過ぎて実感
――ではこれを機にトレーニングに励まれたのでしょうか?
安井:それがまだ励まなくて(笑)。私はメンタルがすごく弱くて、自分に甘い性格だったから太っていたということもありますし、身長が高いのがコンプレックスで、姿勢もすごく悪かったんですよね。ボコボコの土地の上にきれいなビルを建ててもうまくいかないのと同じで、まずはきれいな土台を作る、コンディショニングから始めていきました。ストレッチをしたり、筋膜や姿勢を整えたり、ジムで1時間ちょっとのパーソナルトレーニングを週に2回やっていました。そんな感じなのでジムへ行くのが辛いということは全然なくて。
その頃から肩こりがなくなったなと感じていたのですが、一番すごかったのが、アトピーが治ったんです。元々はアトピーがひどくて、全国色々な皮膚科へ行っていたんですけど、トレーニングを始めて3カ月ぐらい経って気づいたら、特にひどかったお尻のアトピーがゼロになっていたんです。新陳代謝が悪くて、汗もかけない体質だったんですけど、楽しんでジムへ行ってるうちに体質がどんどん変わっていって。今でもそれが一番うれしいです。20代の時はアトピーが気になって海に行ったことがなかったんですよ。水着も着れなかったですし。悲しい青春時代を送っていたので、30代になった今、水着で人前に出ていることが私も不思議で。でも、年齢は関係ない。何歳からでも変われるんだということを実感しました。
そんなこんなで、ジムに通い始めて3カ月ぐらい経ったころから、トレーニングするところまで体も心も整ってきて、真剣にやってみたいなと思えるようになりました。少しずつできるようになっていって、気づいたら10カ月経っていて、わけもわからず全日本選手権に出て(笑)。そんな感じの10カ月間でした。
――体が変わったことで、心境にも変化はありましたか?
安井:30歳までは大きい目標を掲げては挫折していたのですが、トレーニングを始めてからは他の人と比べるのではなく、昨日や1週間前、1時間前の自分に勝ちたいと思うようになりました。今でも毎日、絶対達成しそうな小さな目標を掲げているんですよ。最初の頃は家の周りを1周歩くとか、今日はチョコレートを我慢するとか。本当にちょっとのことがクリアできたら「すごい!」と自分で自分を褒めるんです。
ぽっちゃりOLで何の取り柄もなかったですけど、30歳を過ぎても成長できるということを目の当たりにして、気持ちも前向きになっていきました。苦しいトレーニングを行う時と同じように、難しい仕事が目の前に降りかかってきたら、「これは私を成長させてくれる仕事なんだ」と思うようにして、率先してやっていくようにしたら営業成績も伸びていって。
意識改革はすごく大事だと思いますね。心が整っていたら食事もトレーニングも、しっかりできますし。ジムにいる時間は24時間の中で1~2時間ですけど、それ以外の時間をどう過ごしているかの方が大事です。前向きに過ごせているのと、「これもできない、あれもできない」と思ってしまうのとでは全然違うので。
“食べても太らない体”は筋トレで手に入る
――安井さんのブログを拝見すると、食べることを楽しみつつ、体作りを行われている印象ですが、筋肉をつけることで、食べても太らない体を手に入れられるのでしょうか?
安井:私、大食いでめちゃくちゃ食べるんですよ。肉とかも1キロ普通に食べられちゃうので(笑)。前は食べるとどんどん太っていったのが、今では食べながらコントロールできるようになりました。筋肉をつけると、座っている時でも寝ている時でも消費カロリーが多いので、食べても太らない体を手に入れることができるんですよ。いっぱい美味しいものを食べても引き締まった体を手に入れられて、若返るし、肌もきれいになるし、良いこと尽くめだと思いますね。女性こそ筋肉をつけた方が良いですよ。
腹筋運動は必要なし! ぽっこり下腹には“呼吸”が効果的
――30~40代になると、ぽっこり下腹で悩んでいる方も多いと思いますが、ご著書では腹筋運動ではなく、鼻から息をたっぷり吸って、長く細く吐くという“筋トレ呼吸”をおすすめしていらっしゃいますね。
安井:なぜ下腹が出てしまうのかというと、年齢と共に内臓が重力で落ちてしまうんですよ。普段の姿勢であったり、骨盤の向きだったり、呼吸だったり、そういった部分で内臓がどんどん下がりやすくなってしまうので、引き上げてあげることが大事です。私も腹筋運動をやるというよりは、日頃から呼吸法で横隔膜を上げて、内臓を引き上げるように心がけています。ウエストも引き締まりますし、お腹の奥の方にあって、コルセットのような役割をしている腹横筋を鍛えることができるんです。表面の筋肉を鍛えるよりも、女性はお腹の奥に自分のコルセットを作るようなイメージが大事なんですよ。
――呼吸であれば、いつでも手軽にできますね。
安井:「腹筋を毎日やりましょう」と言うと絶対やらないですし、私も苦手なんですけど、呼吸なら誰でもいつでもできますよね。私も会社の休憩時間とか、信号待ちをしている間とか、ちょっとした時間にやっています。1日1回でも2回でもやっていくと、引き締まったウエストになっていくので、ぜひやってみていただけると効果的だと思います。
――お仕事をしながらトレーニングを続けていく上で、時間の使い方に関して工夫していることはありますか?
安井:10分を1時間のように過ごすのを目標にしています。例えばぼんやりお風呂に入っていたら、それはただの10分になってしまうんですけど、お風呂の中でブログを書きながら、英会話のリスニングをしながらとか。わざわざウォーキングに行くのはもったいないので、通勤の時に1駅分、重い荷物を持って急いで歩けば、有酸素運動にもなりますし。1回に3つ4つのことを同時にやるような感じです。
あとは、自分の中で優先順位を決めて、1日のやることリストを作っています。終わったら線を引いて消していって、その日のうちに全部終わらせるようにするんです。今日を一生のように生きる、毎日全力以上! みたいな感じで、30歳から5年間、その繰り返しです。
目標は小さく、長く続けることが大切
――最後にダイエットで悩んでいる女性に向けて、アドバイスをお願いします。
安井:難しいことをやろうと思うと続けられないので、私は「どれだけ簡単なことを続けられるか」というゲームだと思っているんです。すごく難しいことを1日でやるよりも、めちゃくちゃ簡単なことを10日間やり続けた方が、自分の成果になるはずです。あまり自分を責めすぎないで、無理なく無駄なく一歩ずつ。小さいゴールテープを切り続けるような目標を作っていただけけたらと思います。
取材・文=水野梨香