今すぐ買える無人島がこんなに!? 誰もが憧れる? 究極のプライベート空間“無人島”を手に入れるための心得
公開日:2019/8/9
世界でも有数の島国である日本。北海道、本州、四国、九州、沖縄の本土を中心にたくさんの人びとが暮らしている。しかし、平成27年の国勢調査によれば、意外にも人が住んでいる“有人島”は416。周辺地域には、じつに6432もの“無人島”があるという。
しかも、浮世離れしたかのような話ではあるものの、無人島は不動産としても購入できる。国内外にあるさまざまな無人島物件を取り扱う不動産会社・アクアスタイルズの佐藤ノブさんが著した、タイトルずばりの『無人島売ります!』(主婦の友社)は、ロマン溢れる“プライベートアイランド”への思いを巡らせられる1冊だ。
■目的は千差万別。初期投資できればリゾート地として貸し出すのもアリ
日本には6000以上もの無人島があると、冒頭で述べた。しかし、自治体が管理している島々も多く、また、権利関係がはっきりとしない場所もあり、現状「売買市場にはわずか10島しか出回っていない」と本書は解説する。
とはいえ、購入できる無人島があるのも事実。テレビ番組の“無人島生活”のようなイメージでは、現地で食材を調達して、サバイバルに身を投じるイメージも浮かぶが、実際に売買取引がされるのは権利関係が明らかなのは前提として「陸地からそう遠くないことが絶対条件」にある無人島だという。
購入の目的もさまざまであるが、島以外の初期投資も視野に入れられるのならばリゾート地として誰かを迎えいれるのもアリで、もちろん自分だけのプライベートリゾートを持ちたいという理由でもオッケー。肝心なのは「無人島でやりたいことについてどれだけ明確なビジョンを持っているか」に尽きると、著者はいう。
■内見も普通じゃない。サバイバル感覚の“下見”はさながら宝探し
無人島の購入を考えるならば、第一に「島までのアクセスや水道、電気などのインフラ」を考えるべきと提案する著者。言葉だけとれば人里から隔絶された“孤島”のようなイメージもつきまとうが、現代では、陸地からだいぶ離れていても携帯電話の電波が届く場所もあり、それこそ「発電機と水と食料」を持ち込めば、簡単なテントやプレハブでもじゅうぶんに生活ができるという。
そして、地図上で候補地の島に目安を付けたのち、番地が割り振られていれば法務局で調べることも可能。しかし、まだまだ終わりではない。所有者の了解を得た上で物件の“内見”へ向かうのも必要だが、通常の物件のようにはいかない。著者は「ゴツゴツした岩場を登ったり、沢を下ったり、フル装備で森の中を進んだりと、なかなかにハード!」と経験を振り返るが、その体験はさながら“宝探し”のようなおもしろさがあるという。
もちろん、最終的には所有者との交渉も大切で、その際に心がけるべきは「誠意をもってまっすぐに話し合う」という姿勢。島々は“神聖な場所”として祀られている場所も少なくない。土地に縁もゆかりもない人間がお金にモノを言わせて「島を売って欲しい」と向き合うのはご法度で、たがいの理解を深めていくのが一番の近道だと著者は述べる。
■無人島の一部だけを買い上げて利用する選択肢もある
丸ごと島を買い上げる。何とも夢のある話であるが、とてもじゃないけどお金が足らない…と、尻込みしてしまう人たちもいるだろう。しかし、購入方法はひとつだけではない。リーズナブルに利用する視点からいえば、必要な部分だけ購入する「部分購入」や「共同購入」という選択肢もある。
地権者が複数いる場合もあり、たとえ不動産のプロであっても売買交渉には「骨が折れる」こともあるという著者。ただ、ひとりですべてを購入する必要はなく、交渉次第では「ビーチや平坦地など島のメインの場所を持っている人と交渉してその土地だけを買い上げる」という手段もあると本書は解説する。
複数人で購入するというのも方法のひとつで、さらには、島の所有者として何らかのコラボレーションを図り土地を利用させてもらうのもアリ。いずれにせよやはり、肝心なのは「無人島を手に入れてなにをしたいか」で、それを意識することが土台になる。
聞くだけでワクワクする“無人島”という響き。家を買う、部屋を借りるといった選択肢とは異なる、ホンモノのプライベート空間を手にするための究極の手段かもしれない。本書を読んでみると、意外にも利用する手段はさまざまあることに気付かされるが、ぜひ満ち溢れる“ロマン”に思いを馳せてもらいたい。
文=カネコシュウヘイ