今月もキタ…「生理ちゃん」のパンチはやっぱり強烈! イタイ、だるいアイツの擬人化で共感の嵐『生理ちゃん 2日目』

マンガ

公開日:2019/8/11

『生理ちゃん 2日目』(小山健/KADOKAWA)

「今月もまた、“魔の期間”がやってきた…」。生理が来ると世の女性はそう思い、憂鬱な気持ちになる。月一でやってくる生理は必要なもの。…とは分かっているけれど、痛くて、辛くて、面倒くさい。

 そんな女心を代弁する『生理ちゃん』(小山健/KADOKAWA)は、「生理痛」や「むくみ」「PMS」などを擬人化させた「生理ちゃん」というキャラクターと女性との生活を描いた作品。

 生理の時の症状には個人差があるが、どんな女性も月一でやってくる不自由さに悩まされ、しんどい思いをしている。だが、生理の大変さは周囲に理解されにくい。辛さを訴えても男性だけでなく同性相手にも「生理ぐらいで…」と言われ、モヤモヤした経験がある方は意外に多いはず。そうした、言葉にしにくい苦しみを発信してくれたのが、『生理ちゃん』だった。

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 そして、この度発刊されたシリーズ2作目の『生理ちゃん 2日目』(小山健/KADOKAWA)は、さらに幅広い女性の共感を呼び、男性の心にも響く1冊となっている。

■パートナーに生理の苦しみが伝わらないのはどうして?

 本書には「生理ちゃん」が来た女性や、彼女を取り巻く周囲の人々の姿が描かれている。

 生理中、彼氏や旦那のデリカシーのなさにイライラしたことがある女性は多いだろう。だが、それは仕方がないことなのかもしれない。私たちが受けた性教育といえば、男女が別々の教室に分けられ、自分の体の仕組みのみを教えられるのが普通だったからだ。

 私たちはその時からずっと分け隔てられ、お互いに自分が得たい性の知識のみを吸収してきた。そんな性教育を受けてきたからこそ、作中で投げかけられる言葉は性別を超え、多くの人の心に響く。

 人は、その人のことを知らなければ思いやることができない。それは生理にも通ずるもの。いくら大切なパートナーから「分かってほしい」と言われても、生理について知る機会がなかった男性側はどうケアしていけばいいのか分からず、戸惑ってしまう。

 だが、本書があれば、遠い昔に別々になってしまった男女の道を繋げることができる。生理の辛さを言葉で上手く伝えられない女性こそ、「男だから分からないだろう」と諦めず、本書をパートナーに手渡したり一緒に読んだりして、自分たちのペースでお互いを思いやれる性教育を始めていこう。

■生理の辛さは声に出してもいい

 定期的にやってくる生理は、面倒で厄介なものに思えてしまう。しかし、生理は健康状態を見極めるバロメーターになることを忘れてはいけない。

「普段の生理と少し違う…」と感じても、忙しいと病院へ行かずに様子見をしてしまう女性は多い。その行動の裏には「生理くらいで周りに迷惑をかけてはいけない」という自律心があるように思えてならない。

 本書に登場する働き盛りの漫画編集者・古賀あゆみもそのひとり。いつもとは違う「生理ちゃん」に気づきながらも「人様に迷惑をかけてはいけない」と考え、仕事をこなしていた。しかし、同僚の男性のすすめで婦人科にしぶしぶ足を運び、「卵巣のう腫」の診断を受ける。

 生理はデリケートな話題だ。異変を感じても人に話しにくい分、不安が募って余計に病院から足が遠のいてしまうこともあるだろう。だが、長年生理と付き合っていても、私たち女性は生理のプロフェッショナルにはなれない。不安な時は病院や周囲に頼り、自分の体を最優先させてほしい。

 たとえ、自分が経験している生理の大変さが誰かに分かってもらえなくても、辛さは声に出してもいいのだ。

 女性だけでなく、男性からも熱い支持を得ている本シリーズは2019年秋に実写映画化も決定。これからも目が離せない注目作となっている。生理に関する悩みは人によってさまざま。その重荷を少しでも減らせるよう、本書や実写映画を家族やパートナー、同僚と楽しんでみてほしい。

文=古川諭香