なぜあなたの英語は言い直さないと通じないのか? 「英語らしい声」を出す秘訣
公開日:2019/8/19
日本人の苦手な英語発音の代表格といえば、[r]と[l]、[th]、[v]、[w]だ。筆者は仕事で英語をいくらか使うことがあるが、それでもthirteenと言う時には「一発で通じさせる」ことを端から諦めて、必ず“one three”と補足し、whaleと言う時には頭から水を噴出するボディーランゲージをやむを得ずセットにしている。
『日本人のための 一発で通じる英語発音』(松井博/ダイヤモンド社)の著者は、アメリカのApple本社で7年シニアマネジャーとして勤めた後、フィリピン・セブ島で日本人専用の英会話学校Brighture English Academyを創設した人物。彼は、日本人の英語がなかなか通じない最大の要因は発音にあると断言している。
■英語発音で重要な音はどれ?
英語発音のリズムやアクセントをつかむ上で、著者が特に重要だと指摘しているのは母音(a/i/u/e/o)だ。
“英語で話すときには、母音がハンバーガーの「お肉」で、それを子音というパンで挟んでいるというような捉え方をすると、メリハリをつけて話しやすくなります。お肉が美味しくないとハンバーガーの味が引き立ちませんよね?”
母音を意識すると、どのように英語のリズムやアクセントを牽引してくれるのか。その詳細は本書でご確認いただくとして、こうしたイメージをまず作り上げ、自信を持って、しっかりとした「英語らしい声」を出すということが「通じる英語」への第一歩なのだ。
「英語らしい声」を出すために必要となる「音のかたまり」の捉え方についても、本書では紹介されている。たとえば、ham・bur・gerを「ハンバーガー」とカタカナで書く認識をしていると、やはり英語特有の音のかたまりは逃しがちになってしまう。
最小限の「文字」というかたまりの発音について、「アメリカの幼稚園児や小学生が習う発音」という説明付きで掲載されているフォニックス(Phonics)の表は、Twitterでも波紋を呼んだ。ネイティブの子どもたちはABCDを「エー ビー シー ディー」と言うのではなく、「アッ バッ カッ ダッ」と発音するのだと示す表だが、「今まで無駄な時間を費やした」という悲嘆の声に共感のリツイートとコメントが殺到したのだ。
確かに、こういったヒントが頭に入っていれば、きわめてシンプルな単語、catをなぜそう発音するのかも納得できる。
■「英語らしい声」を出すには姿勢も重要
今からでも本気で英語を学ぼうと決意されている方に、本書が提案するヒントはとても大きな助けとなってくれるはずだ。抽象的な意味での「学習姿勢」だけでなく、実際に学習する時の「姿勢」にまで本書は言及しているからだ。
“姿勢が悪いと声の通り道が阻害されてよく響く大きな声が出ませんし、そもそも正しい呼吸ができません。また、首や声帯にも余計な力が入って声が高く上ずってしまいます。正しい発音をマスターしたかったら、まず何よりも正しい姿勢で、正しい呼吸をするのが最短距離です。”
本書が紹介するのは、よく見かける発音時の口のイラストと説明書きだけではない。参考動画を見ることができるQRコードや、正しい発音のためのストレッチの方法まで載っている本書を、英語学習の根本を問い直すパートナーにしてみてはいかがだろうか。
文=神保慶政