『私のことが好きじゃないとかセンスないよね』――自分らしく、楽しく恋して生きるために。フォロワー数38万人の著者の、響く言葉

文芸・カルチャー

公開日:2019/8/29

『私のことが好きじゃないとかセンスないよね』(あたりめ/KADOKAWA)

 落ち込んでいるときに聞きたいのは、合理的な解決策でも正論にもとづいた叱咤でもなく、暴論でいいから感情に寄り添ってくれる言葉だ。38万フォロワー(2019年8月時点)を誇るあたりめさんのツイートが、万単位でいいねされることが多いのは、彼女の言葉に悩みを吹き飛ばす強さがあるからだと思う。たとえば恋愛に関する言葉をあつめた新刊『私のことが好きじゃないとかセンスないよね』(KADOKAWA)から、まずご紹介したいのがこちら。

大事にされなかった経験があると、自分は無価値なんだとか、もう誰にも愛されないかもしれないってどんどん自分を嫌いになってしまう人いるけど、そいつがたまたまそうなだけだし、魅力に気付いてくれる人はアホ程いるし実質的な自分の価値とは直結しないわ。何なら向こうのセンスの悪さやばくね。

 まじめな人ほど、恋愛に限らずなにかよくないことが起きたとき、ついつい「自分の何が悪かったんだろう」「どうすればうまくいったんだろう」と考えがちだ。優しい人ほど、相手のことも責められない。だから引きずる。そして自己肯定感が下がり、負のループにも陥っていく。悪口をいうと自分に返ってくる、みたいな因果応報を信じる風潮が世の中にあるからかもしれない。だが、あたりめさんは違う。口は悪いし、ときに極端な物言いで、自分の気持ちに正直に、スカッとする言葉をてらいなく吐き出してくれる。私たちの気持ちを、代弁してくれるように。

「こんな彼氏でごめんね」「こんな俺と付き合ってくれてありがとう」。いや全然嫌だわキモ、直せよ。

喧嘩した時とか怒った時に「マジ意味わかんないんだけど」とか言う人、本当ちゃんと「マジ自分理解力ないバカ過ぎて相手の言ってる意味がわかんないんだけど」って正直に言って欲しい。

 といったぐあいに男性に対してはとにかく辛辣で小気味よく、読んでいると思わず、だよねだよね! とうなずいてしまう。男性を責めても逃げるだけ、女性は懐深くでんと構えていたほうがいい、なんて通説もいまだ根強い世の中だけど、責めて逃げるような男だったら放っておけばいい、軽んじられたらちゃんと怒っていいのだということも思い出させてくれる。

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 とはいえ、女性ならなんでも許される、というわけではもちろんなく。

ネトストしてる時間があるなら、自分磨きに使ったほうがもっといい男が寄ってくるわ。

ありのままの自分を愛してくれる人はいないけど、ダメなほうに擦り寄ってはいけない。どんどんダメになっていくだけ。女として一番ダサい。地に足つけろ。

 など「好き」に惑わされて、恋に依存しがちな女性にも手厳しい。男性の身勝手と、女性の主体性のなさは紙一重。ときに理不尽で暴論でも、あたりめさんの主張は一貫している。

誰に嫌われようが自分が自分を大好きだったらいいじゃん、めっちゃ楽しいじゃん。

 自分の人生は自分だけのものだ。自分勝手でいいから、楽しく生きよう。そんなふうに、読んでいるうち、自然と心が浮上する一冊である。

文=立花もも