「自分はデブスだから」コンプレックスを抱く“自己肯定感”の低い女子は、恋を成就させられるのか?
公開日:2019/9/8
つい「自分なんて……」という言葉が口を衝いて出る瞬間がある。それは、自己肯定感の低い者にとって、自分を守るためのシールドだ。容姿、スタイル、学歴、キャリアなど、人は誰しもコンプレックスを抱いている。それを他人に指摘されるのはつらい。だからこそ、自ら“自己評価”を下げ、傷つけられないように壁を作ってしまう。
LINEマンガオリジナルで連載中の作品『やまとは恋のまほろば』に登場する、女子大生・三和穂乃香もそんな女の子だ。
彼女の口ぐせは、「デブス」。自他ともに認める“前方後円墳”のような体形をしており、それを男子にからかわれるのはいつものこと。付き合いで参加した合コンでも、「あれはナシ! チェンジ!」と陰口を叩かれる。けれど穂乃香は、その場に出くわしても、「“前方後円墳”呼ばわりされるくらいが、自分の通常なんで」と平静を装う。
そのエピソードを読んでいて、とても胸が苦しくなった。彼女の気持ちがわかるからだ。自分ではどうしようもないこと、特に容姿などを揶揄されるのはつらい。何度経験したって慣れることではない。それでも穂乃香は平気そうにしている。そこに至るまでには、どれほどの葛藤があったことだろう。それを想像するだけで、あっという間に彼女に感情移入してしまう。
けれど、本作はそこまで暗く哀しい物語ではない。穂乃香には居場所があるのだ。それが「古墳研究会」。古墳を巡ったり、その魅力を語り合ったりするという非常に地味なサークルだが、彼女にとっては天国のような場所だった。
その理由は、そこに所属するふたりの男子にある。同級生の飯田くんと、3年生の可児江先輩。彼らはそこらへんの男子とは異なり、穂乃香を対等な人間として扱ってくれる。愛をもったいじりをすることはあるが、見た目などでは評価せず、古墳を愛する仲間として彼女と付き合ってくれているのだ。そして、物語は彼らふたりの存在によって、少しずつ動き出していく。
常に自分を卑下していた穂乃香にとって、恋は縁遠いものだった。自分が恋愛をするなんて、と自制していた部分もあっただろう。けれど、いつしか芽生えていた飯田くんへの想い。穂乃香は、まだ恋とも呼べないような淡い感情の芽生えに戸惑いつつ、徐々に膨らんでいく気持ちを大切にしていく。
男子からの心ない言葉や、同級生のキラキラ系女子による見下しなど、時折、嫌な現実が穂乃香を襲う。しかし、そのピリッとしたエピソードが、より「古墳研究会」でのやさしい空気を際立たせている。この巧みなバランス感覚が、本作をただの夢物語で終わらせない一因になっているのだろう。
2019年9月2日に発売された第1巻では、まだ穂乃香の恋に動きは見られない。でも、確実に恋の芽は成長している。自己肯定感の低い女子が、恋の花を咲かすことはできるのか。そして、自分のことを好きになれる日は来るのか。本作は、コンプレックスを抱えながら生きる人にとっての背中を押してくれる作品となるに違いない。一読者として、そして穂乃香と同じように苦しんだ経験を持つ者として、彼女の恋模様を応援していきたいと思う。
本作品は電子コミックサービス「LINEマンガ」にて隔週月曜日に連載中で、“無料で23時間ごとに1話ずつ”読める「毎日無料」タブにて配信している。さらに今なら、待たずに11話までイッキ読みができる無料公開キャンペーンも実施中だ(2019年9月15日まで)。
■作品詳細:https://lin.ee/g9sXafs/pnjo/davinci
©︎ Mio Hamatani / LINE
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文=五十嵐 大