SNSでバズを生むのは有名人より「フォロー30・フォロワー50・ツイート5万の人」そのワケは?
公開日:2019/9/21
「SNSでバズを起こしてモノを売る」という販売戦略が一般化した昨今。企業でツイッター等のSNSの運営を担当する人は、「フォロワーの多いインフルエンサーに何とか拡散してもらおう!」と日々奮闘しているはずだ。
だが、SNSマーケティングをテーマにした『僕らはSNSでモノを買う』(飯髙悠太/ディスカヴァー・トゥエンティワン)という本に、かなり驚きの事実が書いてあった。SNSでバズを起こす際のカギになるのは、
・「フォロー300人・フォロワー1万人・ツイート3000件のインフルエンサー」
ではなく、
・「フォロー30人・フォロワー50人・ツイート5万件のユーザー」
なのだそうだ。同書の説明を読めば、その理由は深く納得がいくものだった。
いわく、フォロワー1万人を抱えるようなインフルエンサーは、そもそも宣伝ツイートをしているようなアカウントをフォローしてくれないし、簡単にリツイートもしてくれない。これは考えれば当たり前のことだ。
一方でフォロー30人・フォロワー50人・ツイート5万件ほどのユーザーは、「おもしろい!」と思った情報を躊躇なくリツイートしてくれる可能性が高い。そして、親しい友人等を中心に相互フォローの関係を結んでいる可能性も高く、リアルな口コミに近い形で情報が伝播していく。結果として、鎖のように連なった情報の拡散が起きやすいのだそうだ。
なお『僕らはSNSでモノを買う』には、情報拡散において重要な「UGC」(User Generated Contents=ユーザーが作ったコンテンツ)や、「アテンション」「コンバージョン」などの広告・ウェブの専門用語も出てくる。だが上記のインフルエンサーの話のように「なるほど!」と思える説明が多いので、専門外の人が読んでも理解がしやすい。企業でマーケティング、広報、宣伝、ブランディングなどの仕事に従事している人や、「SNSでフォロワーを増やしたい」と思っている人には参考になる話が多いはずだ。
著者が本書で強調しているのは、先の「フォロー30人・フォロワー50人・ツイート5万件のユーザー」の例のように、「スモール・ストロング・タイ(小さくて強いつながり)」を持ったユーザーのつながりが、ネット上での情報拡散では重要になるということ。
「情報をバズらせたい!」「SNSで人気者になりたい!」と思っている人の中には、フォロワーが多いインフルエンサーにばかり媚びを売っている人もいるかもしれない。しかし、まず大切にすべきは、フォロワーが少なくても深いつながりを持っている人や、自分に関心を示してくれている人なのだ。成功への第一歩は「身近な人を大切にすることから」というのは、現実世界でもSNS上でも同じ……というわけだ。
文=古澤誠一郎