「伸びる新人は、上司とはタメ口で話さない!」『伸びる新人は「これ」をやらない!』⑤

ビジネス

公開日:2019/9/24

 近年のマネジメント論の主流を、真っ向否定するスーパードライなマネジメント手法「識学」に則った新入社員のための仕事術本です。

『伸びる新人は「これ」をやらない!』(冨樫篤史:著、安藤広大:監修/すばる舎)

\よくある誤解/
「課長! そのやり方だとうまくいかないと思いますよ。皆モチベーションが下がっちゃうんで、やめたほうがいいっすよ」
「課長が厳しく指導しないから、同僚もつけ上がるんです。一度、飲みに行きませんか? 課長の奢りで。私がいまどきの若いやつらの扱い方をちょっとだけ教えてさし上げます」

■距離感の近いマネジメントも、世の中のワナか?

 社長が朝出社して、社員全員とハイタッチ! 最近はこのように、組織における人間関係の距離感が異常に近いマネジメントを採用している会社もあるようです。

 上司と部下の間の距離感が近いことを、「よくない」と完全に否定するつもりはありません。しかし、新人が伸びるためには、上司も新人も、こうした組織風土を安易に受け入れてしまうのは考えものです。

 上司のなかには、新人との距離を縮めて近い存在となり、「個人・一人の人間として好かれたい。頼られる存在になりたい」という考えをもっている人もいます。その気持ちが高じて、部下からの人気とり、ご機嫌とりによって、組織を管理・統制しようとする人もいるのでしょう。

 しかし、それは通用しません。そうした上司は自分の上司からは何をもって評価されるのでしょうか? 上司は、さらに上の上司から、組織の「パフォーマンス(=生産量)」とでもいうべき尺度で評価されます。「部下から人気があるかどうか」で評価されるのではありません。

 新人の皆さんにとっては、短期的に気持ちがラクな上司は、距離感の近い上司のほうでしょう。しかし、長期的な視野で見たときには、高い要求を突きつけてくるくらいの厳しい上司のほうが皆さんにとってはよい上司です。そうした上司の下で働くほうが、結局は自分の成長につながるからです。

 また、上司となれなれしくして上司との距離を縮めると、新人である自分が上司に気に入られることもあります。このとき、新人は「自分が会社のなかで高い評価を受けている」という錯覚を起こしがちなのですが、これも大いなる勘違いです。特に、会社で評価されている優秀な上司ほど、そんなことではあなたを評価しません。

 親しさと評価は別の話です。上司は皆さんが会社にとって有益かどうかでシビアに評価をしています。新人が、上司との距離感が近いことに気を許してしまうと、この事実に気づきにくくなってしまうので危険なのです。

■「周囲が認識している立場」を意識する

 また、どんなにフラットな組織風土でも、上司に対してなれなれしい態度をとり続けていると、上司の意識のなかではあなたに対する評価が少しずつ低下していきます。

 この場合のなれなれしい態度というのは、「○○さ~ん!」といった呼び方や、上司との会話のなかに〝タメ口〟が混ざるとか、テーブルに肘をついて話す、足を組んで話すといった対応です。そのほかにも、職場での会話のなかで上司をネタにしてイジったりする、などの行為もあります。

 そんな状態に直面すれば、上司側も表面上はオトナの対応で、笑ってすますことがほとんどでしょう。しかし心のなかでは、「こういう新人は扱いにくい……」「生意気なヤツだな」などと思っているものです。

 なかには、「部下や新人と、ただ仲がよければいい」と考える上司もいるかもしれません。しかし、ほとんどの場合は、上司は違和感を覚え、しかも「新人が本来得られるはずの利益を失っている」といった感覚を抱いています。「上司を友だち扱いするなんて、損な選択をするヤツだ」と思っているのです。

 上司の側でも、新人の皆さんのちょっとした言葉づかいや態度で、わざわざチーム内に波風を立てることはしたくないものです。しかし、新人のなれなれしい言動は、その新人に対する上司の評価を着実に下げてしまいます。このことは決して忘れないようにしてください。

この対応が正しい
 上司との距離感が近い組織は居心地がいいけれど、それに甘えすぎてはいけませんね。まずは、周囲が期待している「新人像」に近づけるよう努力します。

<第6回に続く>