TRF・SAMの教えるダンス(社交ダンスじゃなくて!?)になぜか70代80代が大ハマリ! しかもその効果が実はすごすぎて医学界も政界も動き出しそうな件
公開日:2019/10/3
ダンスを中心とした5人組音楽グループTRF(1992年結成)のダンサーSAMさんといえば、コアな世代に知らない人はいないだろう。だが、その世代には思えないような60〜80代のシニア世代が、SAMさんといっしょに手をたたき、足を踏み鳴らし、大笑いしながらノリノリで踊っている。社交ダンスでも健康フォークダンスでもない、いわゆるストリートダンスのナンバーを喜々として踊っているのである。名づけて「ダレデモダンス」。
書籍『DVDつき 一生元気に動ける体を!ダレデモダンス』(主婦の友社)が発売されたということで、実際に「ダレデモダンス」の体験型レッスン、ワークショップを覗いてみた。
SAMさん、今年57歳は埼玉県で大きな病院を構える医者一家に生まれた。男兄弟もいとこもほとんどが医師の道を進むなか、ダンサーを志し、大成功をおさめたSAMさんだったが、50歳の声を聞く頃にダンスをもっと広めたいと考えた。それが「ダレデモダンス」のきっかけになった。
ダンスの運動量は太極拳やラジオ体操と同じくらい
中学校の授業にダンスがとり入れられるなど、ダンスの裾野は広がりつつある、これからはシニア層だ。そう考えていたSAMさんの活動に呼応したのがSAMさんのいとこで循環器専門医の丸山泰幸先生だった。埼玉県の岩槻南病院の院長を務める丸山先生は、心臓リハビリテーションのメニューに頭を悩ませていた。高齢化社会を迎えた日本にとって、心臓疾患対策は健康寿命を伸ばすために重要。心臓疾患の治療、退院後には有酸素運動によるリハビリが大きな意味を持つのだが、いくら医師がウォーキングやジム通いをすすめても、なかなか定着せず継続率が上がらないのだ。
そんなある日、SAMさんのダンスをイベントで高齢者が楽しそうに踊るのを目の当たりにした丸山先生は、これがリハビリにぴったりの有酸素運動なのではないかと感じた。さっそくSAMさんに相談し、2人の意見が一致。病院のスタッフ、患者さんの協力も得てダンスの振り付けをリハビリテーション向けにアレンジした。テンポをやや落とし、運動強度を太極拳やラジオ体操と同レベルの4メッツに設定。これを健康イージーダンスと名づけた。
ダンスは有酸素運動として適当であるだけではない。足踏みをしたり、ジャンプをしたりする動きでは骨に衝撃が加わる。これは骨粗鬆症の予防に有効だ。振り付けには右の手足、左の手足をそれぞれ別々に動かすような振り付けもある。最初はできなくても繰り返しているとできるようになる、脳が活性化してくるのが実感できる。
まちがってもいい 楽しいから自発的にできる
しかも、参加者に共通するのが「やらされている」感がまったくない点。心臓リハビリをきっかけに始めたという70代の女性から、TRFデビュー時には生まれてなかったような若い人まで一心不乱に踊っている。こんな光景、どこかでみたことがあっただろうか? しかもレッスンにしてはみんな楽しそうなのだ。
ダンスのレッスンをしながらSAMさんが「あれ? ここどうやるんだっけ?」アシスタントが慣れた調子でツッコミながら正解を教える。間違ってもいい、そんな雰囲気が生まれてみんなの表情も柔らかになる。ダンスレッスンが終わるとSAMさんの周りに人垣ができた。ハイタッチをしたり、ひとしきり近況を話しかけたり。適度の汗をかいてリラックスした雰囲気のなかで、みんなで記念撮影。名残を惜しむようにゆるやかに解散。
ボケ予防、認知症予防、生活習慣病予防、寝たきり予防…「高齢化社会」とセットにされるこれらの言葉に、若者たちのものと思われていたストリートダンスがかかわってくるのは、なぜかとても魅力的だ。2019年9月の内閣改造で経産相に就任した菅原一秀氏は、SAMさんと学生時代にダンスユニットを組んでいたことがニュースになった。これからの社会がどうなるかはわからないが、世の中に思いもよらなかった何かが動き始めるきっかけがダンスだったら、それはそれで愉快ではないか。
脳トレにもなるウオームアップ
1~8を最初はゆっくり、それをだんだん速くしていきます。
1回目に右手で左肩に触れたら、2回目は左手から始めます。
これを繰り返し、できるだけ速く動かせるように頑張りましょう。
1 右手で左肩
2 右手で左ひざ
3 左手で右肩
4 左手で右ひざ
5 手をクロス
6 両手を肩
7 両手をひざ
8 クラップ
*反対側も行う