「オシドリ夫婦」は褒め言葉じゃない!? 知って衝撃!「動物たちのウラの顔」
公開日:2019/10/19
人間誰しもオモテの顔とウラの顔が存在する。いつも笑顔を振りまくあの子も、ウラの顔はわからない。コワモテのお兄さんも、実はすごく優しい人かもしれない…。だが、それは人間に限った話ではなく「いきもの」たちも同じだそう。
そんな、色々ないきもののオモテとウラをかわいいイラストとともに紹介する『ぬまがさワタリの ゆかいないきもの㊙図鑑』(ぬまがさワタリ/西東社)。図鑑といってもお堅い本ではなく、誰でも楽しんで読める1冊だ。ひとつずつのトピックも興味深いうえに簡潔で短いものなので、気になったページから開いてみるのもよさそうだ。
■夫婦仲は? オシドリのオモテ/ウラの顔
【オモテ】
「オシドリ夫婦」と言えば、仲のいい夫婦を表現して使われるポジティブな言葉。これは、オシドリは夫婦になるといつも寄り添って行動するからだという。いつも寄り添って仲睦まじい夫婦。独身の身からみてもなんとも羨ましい限りだ。
【ウラ】
そんな「オシドリ夫婦」という言葉をひっくり返すような、とんでもないウラの顔がオシドリには存在する。なんと、オシドリは毎年パートナーを変える習性があるというのだ。パートナーとなり卵を産むまではイメージ通りのオシドリ夫婦の生活。だが、その期間は半年にも満たない。そして翌年はまた違うパートナーと繁殖をするのだ。先ほどの「羨ましい」コメントを返していただきたい…。
今まで、仲のいい夫婦を見ては「オシドリ夫婦ですね」なんて言っていたが、モデルとなったいきものの実態を知ってしまうと、「シーズンごとに相手を変えられるなんて素敵ですね」という嫌味にも聞こえかねない。難しいものだ。
■猪突猛進だけじゃない!? イノシシのオモテ/ウラの顔
【オモテ】
発達した筋肉を持ち、森の中を時速45キロで駆け回るイノシシ。なんと、数キロ程度の距離なら海も泳いで渡れるほどの身体能力を誇るという。そんなパワフル動物・イノシシは、猪突猛進のイメージから「まっすぐにしか走れない」なんて思っていないだろうか?
【ウラ】
走り出したら止まれないイメージ…だが、実はそんなことはない! 彼らは急ブレーキをかけ柔軟に方向転換でき、さらに止まった状態から垂直に1メートルの大ジャンプを決めることもできる。慣用句からイメージしていたイノシシの概念が覆される、そんな一面を秘めているのだ。
もしイノシシに遭遇してしまったら、ジグザグに走って逃げれば大丈夫だろう――そんな思い込みは今日を限りに忘れた方がよさそうだ。実際にそんなことをしても逃げ切るのは非常に難しい。出会わないように警戒しておきたいものだ。
■かわいい顔して…。ウーパールーパーのオモテ/ウラの顔
【オモテ】
かつて爆発的人気を誇った両生類・ウーパールーパー。メキシコサラマンダーというカッコいい別名とは裏腹に、とてもキュートな見た目をしている。「ペットとして飼いたい」と思う人が多いのも不思議ではない。
【ウラ】
そんなかわいらしい容姿のウーパールーパーは、実は想像を超えるような驚くほど高い再生能力を持っている。なんと、足や尾を失っても数週間で再生する。それだけでなく、脳などの重要な器官までも再生可能だそうだ。恐るべし、ウーパールーパーの復元力。
■その祖先は? シバイヌのオモテ/ウラの顔
【オモテ】
飼い主に忠実な犬としても人気の高いシバイヌ。近年では海外でも人気が高まっている。昔から狩猟犬として飼育され、人とのかかわりも深く、縄文時代の遺跡からもシバイヌの祖先の化石が見つかっているほど。
【ウラ】
そんなシバイヌは、あらゆる犬種の中で最もオオカミに近いDNAを持つことが明らかになった。愛くるしい顔つきからは想像がつかないが、知ると何だかカッコよく見えてくる。ちなみに、2位はイメージのだいぶ異なる、チャウチャウ。DNAとは不思議なものだ。
本書では、上記を含め約100の「オモテとウラの顔」が描かれる。今まで知らなかった驚愕の生態や習性などを知ると、新しい角度からいきものの観察ができそうだ。本書でウラの顔を学んでいきものに詳しくなったら、友達に教えてあげたり、動物園に出かけて本物を見ながら観察してみるのも楽しいだろう。
文=冴島友貴