一時期ブームとなった神社巡りや御朱印集めは相変わらずの人気ぶり。評判の神社をリサーチして、参拝する神社を決めている人も多いだろう。なかでも「祈願成就を果たしたい」という方々にお読みいただきたいのが、『あなたの願いを叶える 神社ご利益大全　神縁を結ぶ100の方法』（本田不二雄/KADOKAWA）だ。

　本書は長年、神社本に携わり、日本中の神社を知り尽くした著者が全国から100社を厳選。最大の特徴は、だれもが神さまとの縁を深められる「その神社特有の祈願法」を公開していること。神縁の証となるお札やお守り、おみくじなどもオールカラーで掲載され、これまでに類を見ない神社紹介本となっている。

　いくつか具体例を紹介していこう。

■椿岸神社の縁結び祈願法と椿恋みくじ

　三重県にある椿大神社（つばきおおかみやしろ）は、導きの神とも縁結びの神ともいわれる・サルタヒコ大神を祀る全国二千余社の本宮。とりわけこの境内にある別宮の椿岸神社は、婚活神社として祈願すれば良縁が結ばれると評判になっている。注目を集めているその「縁結び祈願法」とは、

　まず「招福の玉」を３回撫で、「神招福臼（かみおぎのふくうす）」を杵で３回ついて心願を祈り、次に近くの「かなえ滝」をスマホで撮影（待ち受けにすると願いが成就するとも）。その脇で「かなえ絵馬」を奉納するというもの。（本書より引用）

　椿岸神社に祀られているアメノウヅメ命は、サルタヒコ大神と夫婦神。縁結びのほか、夫婦円満、芸道向上の御神徳がある。授与所で人気の「椿恋みくじ」は、折り紙の椿の花を開けると、縁起物の小さな椿がおみくじと一緒に収められている。椿の代わりにレアな巫女さんチャームが入っていることもある。

■川越氷川神社の縁結び玉と鯛みくじ

　縁結び祈願で要注目なのが、川越氷川神社（埼玉県）の「縁結び玉」。「境内の玉砂利を持ち帰り、大切にすると良縁に恵まれる」という言い伝えにちなみ、本殿前の白い玉砂利を巫女が麻の網に包み、神職がお祓いした縁起物で、毎朝8時より20体限定で無料頒布。早朝から並ぶ人もいるほどの人気で、縁結び玉を受けた人が伴侶と出会い、縁結び玉を返しにふたたび来社すれば特別なお守りが授与される。

　境内では、尾におみくじが仕込まれた鯛を、釣りざおで釣る「鯛みくじ」が大人気。赤の「一年安鯛おみくじ」とピンクの「あい鯛みくじ」がある。

■全国の縁結びの神様がズラリと勢ぞろい

　紹介されている縁結びの神社は北海道から九州まで約40社。それぞれにさまざまな祈願法があることに驚かされる。祓い・結び・占いの「恋の三神事」を行う縁結びの青島神社（宮崎県）や、龍宮神社（鹿児島県）の「貝殻祈願」など、一度は試してみたくなるだろう。ほかにも次のようなユニークな祈願法がある。

●叶神社（神奈川県）：西叶神社で勾玉を受け、渡し船「愛宕丸」で川の対岸にある東叶神社へ渡り、お守り袋を受ける。勾玉をお守り袋に入れて「勾玉お守り」を完成させると願いが叶う。
●貴船神社（京都府）：「水占斉庭」の御神水に「水占（みずうら）みくじ」を浮かべ、白紙に浮かび上がる文字で占う。結社（ゆいのやしろ）に願いごとをしたためた「結び文」を結びつけて祈れば、良縁が結ばれる。
●都萬（つま）神社（宮崎県）：中身がくりぬかれた大きなクスの空洞「千年楠の洞洞木」をくぐると願いが叶う。

■金運や勝負運上昇の祈願法も網羅

　勝負運・厄除けでは、戦を勝ち抜いた武将にあやかる神社やすべてを断ち切りやりなおすための神社、石を撫でて病気を平癒する神社などがある。フィギアスケートの羽生結弦選手がお参りし、ソチ五輪で金メダルを獲得したことからスポーツ選手や受験生を中心に大人気となった弓弦羽（ゆづるは）神社（兵庫県）は、勝負運を上げる神社の代表格だ。

　金運アップのご利益では、金運の象徴の白蛇にちなんだ神社や財福をもたらす弁財天をお祀りする神社、ご神水でお金を清める「銭洗い」の神社など、開運・金運上昇の神社も目白押し。具体的なご利益としては、金運に恵まれる、お金に苦労しなくなる、株価が上がる、宝くじが当たるなどで、どれも神縁を結びたくなる神社ばかり。

　ご利益を網羅しているにとどまらず、それぞれの境内にある知る人ぞ知るパワースポットもサラリと教えてくれている。2本の神木が途中で合体している下鴨神社（京都府）や大石から常緑の木が生えた篠崎八幡神社（福岡県）のように、境内に複数存在する見逃せないスポットをしっかり押さえてある。巻末には、著者が厳選した４本の霊木を紹介。迫力のある写真からは、まるで木のパワーが伝わってくるようだ。

　近くの神社に足しげく通うのもよし、遠くの神社へ参拝を理由に旅行を計画するのもよし。あなたの願いごとを叶えてくださる神様を見つけたら、ぜひ実際に足を運んでたくさんの神縁を結んでほしい。

文＝向千鶴子