やすんだっていいし、毎日充実してなくてもいい。頑張っている人にこそ響く10分で読める“マインドフルネス”
公開日:2019/11/24
頑張っているはずなのに空回りしたり、うまくいかなかったり。そんなことの積み重ねで、仕事のモヤモヤや、人間関係のイライラが大渋滞。これ、ずっと続くのかな…と、ときどきイヤになります。
そんな時に読みたいのが、押切もえさんによる翻訳本『たまには、やすんだら? ナマケモノさんが教えてくれる世界一かわいいマインドフルネス』(Ton Mak:著、押切もえ:訳/飛鳥新社)です。
“マインドフルネス”とは、呼吸を整えて頭をスッキリさせる簡単な瞑想法のこと。ぽってりと可愛らしいナマケモノさんが登場し、情報過多でスマホ疲れしている現代人のためのデジタル・デトックスとも言われるマインドフルネスの世界へといざなってくれます。
■人生ってなかなかうまくいかない。
ときどきね、ナマケモノだって大変さ。
そんな言葉から本書ははじまります。ベッドから出るのはとても大変で、ささいなことを成し遂げるにしても、たくさんの努力がいる。仕事はまだまだ終わらなくて、やすまなきゃって思うのに、いきなりのんびりするって難しい。でも、全部やるなんてもっと無理。
■心をゆるめて、眺めて。恐怖や怒りにバイバイする
そんな時は、ほんの5分だけでも、“今、この時”に集中してみて。心の中にある恐怖や怒り、疑いに気づいたら、逃げたり隠れたりしないこと。心をゆるめて、眺めて、じっくり考えて、それからバイバイ。心の中がからっぽになると、今ここにあるすべてが、もっと明るく、はっきり見えるようになる。
■「ゆっくり」は悪いことじゃない。1つ1つを楽しんで
食べる時は、ゆっくり食べて、ひと噛みひと噛みを楽しむ。人と話す時は、一息ついて相手の話をじっと聞く。「いつも充実していなくたって、いいんだよ」「やすんだって、いいんだよ」「この瞬間に集中して」とナマケモノは投げかけます。私たち現代人は、先のことばかり考えて、すこし急ぎすぎているのかもしれません。
■読んだ後に心が浄化される不思議な1冊
ナマケモノさんは、どんな人の心の中にも存在する、もうひとりの自分です。白と黒のみで構成された世界はまるで自分の心をのぞきこんでいるようで、「最近ちょっと忙しすぎたかな」「それってSNS疲れのこと?」「自分の気持ちに向き合えてなかったんだ」「え、ゆっくりでいいの?」などと、読みながら自分と対話して、読み終えたらなぜか心がゆったり、スッキリ。そんな浄化作用のある不思議な1冊でした。
いわば、マインドフルネスの疑似体験。うまくいかない人生を嘆くナマケモノの姿は頑張っている人にこそ響いて、読後には出口の見えない心に一筋の光が差し込むかもしれません。
イラストの可愛らしさにキュンキュンして癒されますし、10分ほどでサクッと読めるのも大きな魅力。マインドフルネスってなんだろうと気になっていた人も、その方法と素晴らしさを明快に理解できるはず。今こそ、マインドフルネスを知るチャンスですよ。
文=吉田有希