「ファミコンのすべて」がこの1冊に集約! 懐かしきゲームの記憶が鮮やかに蘇る
公開日:2019/12/5
現在、テレビアニメ「ハイスコアガール」の第2期が放送中だが、作品の舞台と同じ時代を生きた人ならば、その楽しさは倍増だろう。あの時代はまさにアーケードや家庭用ゲーム機などを含めた「デジタルゲーム」の進化の時代であり、短期間のうちに多種多様なハードが登場し、消えていった。
そんなあまた存在するハードの中でも、家庭用ゲーム機を世に普及させた一番の功労者は間違いなく「ファミリーコンピュータ」(通称「ファミコン」)だ。1983年に登場して35年以上経つが、近年でも「ニンテンドークラシックミニ ファミリーコンピュータ」が発売されると、あちらこちらで品切れとなるほどのヒット。今でもファンの多い「ファミコン」だが、そんな人々へ向けて『ファミコンコンプリートガイドデラックス』(山崎功/主婦の友インフォス)が発売された。
本書はファミコンの登場やその歩みといった時代背景から、派生機種や周辺機器にいたるまで、あらゆる情報が網羅されている。中でも圧巻なのは、やはり1000本以上を誇るファミコンのゲームタイトルを年代ごとに掲載していることだろう。当時夢中になったユーザーならば、あのときの熱量が蘇ってくるに違いない。本稿では私の独断と偏見で恐縮だが、当時の記憶を辿りながら「思い出のゲーム」を振り返ってみたい。
●カラテカ(1985年12月5日発売 メーカー/ソフトプロ)
当時ファミコンを持っていなかった私は、友人から本体ごと複数のソフトを借りたのだが、そのうちの1本がコレだった。断崖絶壁からスタートするのだが、一歩でも後ろに下がると崖から落下してゲームオーバーとなる鬼畜仕様。さらに必死に敵を倒して前に進んでも、どう突破すればよいか分からない罠に串刺しにされ、またしてもゲームオーバー。最終的にクリアを放棄し、一緒に借りた「超時空要塞マクロス」ばかりやっていた。激しい挫折感を味わった、非常に記憶に残る1本である。
●ファイナルファンタジーⅡ(1988年12月17日発売 メーカー/スクウェア)
ウチはファミコンを手に入れるのが遅かったので、この時点で私は本シリーズを未プレイだった。いきなり『Ⅱ』なのは、確か兄が持ってきたからだったと思う。武器や魔法などの熟練度を自由に上げられるシステムも斬新で楽しかったが、何より記憶に残るのはそのストーリー展開だった。4人パーティのうち主人公たち3人は固定だが、4人目はストーリーと共に変化。4人目の多くは主人公たちの道を切り拓いたり危機を救うなどで、その命を散らせてゆく…。非常に感動した覚えがあり、同シリーズほかRPGを多くプレイするきっかけとなったゲームであった。
思い出のゲームを語り始めればキリがないが、それは多くのユーザーたちも同じだろう。この本ならば、当時プレイしたすべてのゲームを思い出すことができるはず。本書は400ページを超える大著であり、間違いなく決定版ともいえるものだ。非常に手間のかかる作業をこなして発売にこぎつけた著者や制作スタッフには、最大級の賛辞を贈りたい。
文=木谷誠