悩んでいたのがウソみたい! オン・オフで決断力がアップするロジカルシンキングの簡単テクニック
公開日:2019/11/28
答えの分かりきった物事ばかりで回っていれば、人生はそう苦労しないのかもしれない。しかし、生きていればときに不測の事態にも出くわす。そんな場面で足がすくんでしまい、身動きが取れなくなる人は少なくないだろう。
「解決策が見えない」ことは誰にとっても怖いものだが、ロジカルシンキングを使って目の前の困難を乗り越えようと提案するのが『仕事の不安・悩みがなくなる ロジカルシンキング』(苅野進/あさ出版)だ。「論理的思考力」と聞くと身がまえてしまうものだが、本書のアイデアはどれもシンプルなモノ。考え方を身につければ、日常生活にも落とし込むことができるはずだ。
■漠然とした問題は「分解」して解決策を見出す
自分がある雑貨屋さんの店主だと想像してみよう。今、お店が抱えているのは「売上を2倍にする」という課題。これをクリアするために、まず何が必要なのか考えてみてほしい。
まず1つ答えを挙げるならば、単純に思い浮かぶのは「商品の単価を2倍にする」方法。しかし、客足が遠のくことを考えれば、あまり現実的とはいえない。そこで本書が提示するのは「売上」の内容を「分解」するやり方だ。
お店全体の売上は、分解してみると「客単価×客数×購入頻度」に分けることができる。客単価と客数、購入頻度をそれぞれ“1.25倍”できれば、合計の売り上げは“1.95倍”となり目標(2倍)に近い数値となる。同時に、達成までのハードルは、単純に単価を2倍にするよりもだいぶ下がったように感じないだろうか。
この考え方のポイントは、一見、漠然とした問題でも細分化してみると解決策が見えてくる可能性があるというコト。こういった可能性を発見しないと、余計な方向に努力を注ぎ込む羽目にもなりかねないので、心がけておきたいところだ。
■選択に迷ったら「表にして点数化」してみる
ビジネスでも、あるいは日常生活の買い物でも、目の前に複数の選択肢があると、迷ってしまってなかなか決められないという人もいるだろう。そんな場面では、「表にまとめる」という作業が頭の整理をするのに役立つ。
例えば、中学受験を検討している家族がいて、子どものためにA~Cいずれの中学校を受験させるべきか悩んでいるとする。目の前には3つの選択肢があるが、本書で取り上げられているのは、表中で重視する要素を点数化するという方法だ。紹介されているのは、以下の項目である。
・宿題は多いか
・ダンス部の活動は楽しいか
・通学時間
・交換留学の制度
・理系に進学する人の割合
・学費
・制服
表の考え方としてはまず、横軸にA~C中学校の名前を書く。そして、縦軸にはそれぞれの項目を書き1点〜5点で評価していく。そうすると、ゴチャゴチャ絡まって見えていたそれぞれの選択肢について、特徴が見えてくる。もしもっとも重視したい項目が「ダンス部の活動は楽しいか」だとしたらその点数を2倍にするなど、重視度合いによって差別化する方法もある。
ここで覚えておきたいのは、単純化して考えることの重要性。言葉だけで考えていてもあやふやな場合にも、数字で定量化してみれば、問題点がハッキリと見えてくるはずだ。
ロジカルシンキングは、答えが見えづらい問題に対して、「上手に試行錯誤をしながら前進していく思考技術」だと著者は語る。考える過程も楽しみながら日常生活へ取り入れてみれば、こじれていた物事も“知恵の輪”のようにスルリとほどける瞬間があるはずだ。
文=カネコシュウヘイ