『このライトノベルがすごい! 2020』は、新作が続々ベスト10入り! 青春・ラブコメが快進撃!
公開日:2019/11/28
いまが旬のライトノベルを紹介するライトノベル総合情報誌『このライトノベルがすごい! 2020』(『このライトノベルがすごい!』編集部:編/宝島社)が11月25日に発売された。
本誌は、毎年恒例の読者アンケートによる人気ランキングに加え、人気作家やイラストレーターへのインタビュー、ジャンル別作品紹介ガイドなどを掲載し、ライトノベルの流行を読み解くためのいわば“必読書”。
一番の注目が集まる人気ランキング「文庫部門」では、『七つの魔剣が支配する(電撃文庫)』(宇野朴人/KADOKAWA)が栄えある今年の第1位に輝いた。
『七つの魔剣が支配する』は、魔法使いを育成する名門キンバリー魔法学校に入学した主人公オリバーとその仲間たちが繰り広げる剣と魔法が交錯する魔法学園バトルファンタジー。先月には最新第4巻が出版されたばかり。作者・宇野朴人は、アニメ化もされた前作『ねじ巻き精霊戦記 天鏡のアルデラミン』最終巻の巻末で本作のプロローグを掲載するという珍しい告知を行い話題になったが、シリーズ開始1年目にして周囲の予想を遥かに上回る結果を残した。
ランキングトップテンでは、『りゅうおうのおしごと!(GA文庫)』(白鳥士郎/SBクリエイティブ)、『ようこそ実力至上主義の教室へ(MF文庫J)』(衣笠彰梧/KADOKAWA)、「青春ブタ野郎」シリーズ(電撃文庫)(鴨志田一/KADOKAWA)など、近年人気の作品が並ぶなか、初登場の青春・ラブコメジャンルの作品がいくつもランクインした。
とくに注目は『お隣の天使様にいつの間にか駄目人間にされていた件(GA文庫)』(佐伯さん/SBクリエイティブ)。
男子高校生の主人公が、マンションの隣室に住んでいる学校一番の美少女に雨の日に傘を貸したことから、もどかしく甘酸っぱい男女の交流が始まる隣人ラブストーリー。小説投稿サイト「小説家になろう」が初出で、WEB掲載時から絶大な支持を集めての待望の書籍化。主人公とヒロインの甘々な関係が新規読者の心を掴んだようだ。
もう1作、『夏へのトンネル、さよならの出口(ガガガ文庫)』(八目迷/小学館)は、欲しい物がなんでも手に入るという都市伝説の「ウラシマトンネル」を発見した主人公が、ヒロインと共に失った過去を取り戻すために時空を超える、青春ボーイ・ミーツ・ガール。第13回小学館ライトノベル大賞で、異例の「ガガガ賞」と「審査員特別賞」のダブル受賞を果たした話題作。審査員の評価に違わぬ大健闘を見せた。
これら以外にも、初登場の青春・ラブコメジャンルの新作がランキング全体の半分近くを占め、昨年度のランキングとはうって変わって青春・ラブコメが人気を博した年となったようだ。よくも悪くも人気の移り変わりが激しいライトノベル業界を象徴する結果となっている。
文庫本の紹介とわかれている「単行本部門」のランキングや、現役作家に訊くおすすめライトノベル特集、2010~2019年を振り返る2010年代The BEST特集など、今年度はいくつもの特別企画が掲載されている。さまざまな視点から流行の変化が読み取れるので、ライトノベルの今と昔を見比べてみるのも興味深いだろう。さらに今後の人気の傾向にも注目したい。
最後に『このライトノベルがすごい!』編集部から届いたダ・ヴィンチニュース読者へのメッセージを紹介したい。
“ライトノベルは読者の年齢層がかなり広がっているのですが、『このラノ』のアンケート回答者層はやはり10代後半~20代前半が多いです。文庫部門を見てみると、“学校”を舞台にした作品が強いですね。そしてここ2~3年の傾向として青春・ラブコメジャンルの隆盛があります。WEB発小説は異世界転生・転移ファンタジーが主流でしたが、『継母の連れ子が元カノだった』や『お隣の天使様~』など、WEB発ラブコメの注目が高まります。
一方、「単行本・ノベルズ」部門では女性層からの支持が強い! 『本好きの下剋上』は盤石な人気を得つつ、今年は『Unnamed Memory』が1位。文庫部門とは異なった読者層の支持を得ています。上位作品への熱いコメントも多く掲載していますので、ぜひチェックしてみてください!”
『このライトノベルがすごい!』編集部 岡田勘一
文=愛咲優詩