わが子が「学校に行きたくない」と言い出したらどう対処する? イラスト図解で子どもの将来を考えよう!
公開日:2019/11/28
「子どもは学校に行くのが仕事」という言葉をうかつに使えなくなった。子どもが学校に行くのをしぶったり拒んだりするのは、いじめやいやがらせなどを受けているからかもしれない。(「子どもは学校に行くのが仕事」と言って)無理に登校させるのはためらわれる。しかし、このまま学校に行かなくなったらどうしよう……などと悩み、どう働きかけたらよいかわからず、困惑している保護者も多いだろう。
不登校児に指導担任として10年間関わった教育カウンセラーが監修した『登校しぶり・不登校の子に親ができること(健康ライブラリー イラスト版)』(下島かほる:監修/講談社)によると、子どもの数は減ってきていても、不登校児の数は増加の一途。小中学校を長期欠席している子どもは、この四半世紀でおよそ3倍に膨れ上がっている。文部科学省による平成29年度の調査によると、小学生は約4万人、中学生は約10万人が不登校児とされる。割合でいうと、小学生の185人に1人、中学生の31人に1人となる。
不登校ぎみの子どもは、さらに多い。ある調査では、中学生の約33万人が不登校ぎみと推計されている。中学校の1クラスに30人いるとすると、そのうちおよそ1人が不登校、そして3人が学校に来たり来なかったりを繰り返している、という状況となるのだ。
わが子の不登校は、保護者にしてみれば、たいてい突然始まる。そのときに、保護者は狼狽し、悩み、本書いわく“誤った対応”をしてしまいがちなのだという。本稿ではまずすこし安心できるようなデータを紹介したい。
本書によると、不登校の経験があっても進学率・就職率は高いのだそうだ。欠席が長引くと、保護者としては子どもの将来が心配になるが、文部科学省の調査(平成18年度)では、不登校経験者の進学率はこの10年ほどで大幅に上昇しており、高校進学率は前回の同調査(平成5年度)から19.8%も増えて85.1%に。さらに5人に1人は大学などへも進学している。また、20歳の時点で就学も就業もしていないという人は前回の同調査から4.7%減って18.1%と報告されており、不登校の後ずっと家に閉じこもったままという人は少なくなりつつあるとわかる。
子どもが登校したくないと言ったら、親はどうすればいい?
さて、本書が「登校しぶり・不登校の子の保護者」に伝えたい重要なことは、時期を見きわめて子どもへの働きかけ方を変えることだ。
ひとくちに不登校といっても、時期によって子どもの状態は違う。時期は初期、中期、後期の3つに分けられる。初期は「不登校開始期」で、子どもが体調不良を訴えるなどして、学校を休む日が増え始める。このとき、保護者は無理に以前と同じペースに戻そうとしないほうがよい。
中期の「ひきこもり期」では、子どもはほとんどを家庭で過ごすようになるが、このとき、保護者は「好きなことばかりしていて、まったく勉強しない」などとイライラせず、じっと見守ることが大切だそう。やがて、後期の「回復期」になって家族との会話が増え、学校や進路のことを気にするような発言がみられるようになってきても、保護者は子どもを焦らせることなく、むしろ徐々に元の生活に慣れていくような慎重さを心掛けることが重要だ。
本書は、それぞれの時期において最良の関わり方を示しているが、その根本的なポイントは3つある。
(1)子どもが学校に行くためのエネルギーがたまるように接すること
(2)子どもの選択や行動を尊重すること
(3)どんな子どもでも、本来は成長する力を備えていると信じること
不登校で家の中にいても、子どもは確実に成長している。そう信じて子どもを見守る眼差しが、子ども自身の未来を開花させることに繋がっていくのだろう。そう願う多くの親御さんの心強い支えとして、本書をおすすめしたい。
文=ルートつつみ