芸人妻・野々村友紀子さんが選ぶ「ワンオペ・夫婦関係に悩む人に効く本」

文芸・カルチャー

公開日:2019/11/29

 本の世界には、あなたの今の悩みを軽くしてくれたり、生き方のヒントになる作品が数多くあります。今回は、お笑い芸人・2丁拳銃の修士さんの妻で放送作家として活躍し、読売新聞大手小町の「お悩み相談アドバイザー」も務める野々村友紀子さんに、夫婦関係がうまくいかないと悩んでいる人におすすめの本を紹介していただきました。

お悩み:夫婦関係がうまくいかない

■選書したのは…

■処方した書籍は?

 作家・城山三郎氏が亡き妻・容子さんを偲んで書いた遺作。

 前半には妻との運命的な出会い、奇跡的な再会、結婚してからの日々などが、妻を愛おしいと感じた瞬間を寄せ集めるかのように、優しく軽やかな文章で綴られている。

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 お茶目でいつも笑いを振りまく明るい妻、容子さん。「夫の行く道が私の道」とばかりに、どんな時も夫についていく姿が健気で愛らしい。

 その描写からひしひしと伝わるのは、どれほど作者が妻を深く愛していたか、どれだけ互いが最大の理解者だったのか。

 妻を失った後、埋まることのない心の穴を抱えながら生きた父の7年間がどんなものだったのかを、娘さんがあとがきで明らかにする。

 微笑ましく読めた箇所も、結末を知り次に読むときは涙がこみ上げ、タイトルの言葉が語られるところでは、とても寂しい気持ちになる。

 しかし、こんな風に愛し愛される、最高に幸せな人生を私も夫と送りたいと思う。

『そうか、君はもういないのか』(城山三郎/新潮社)