【再生】「死にたい」と自殺を図った僕が、今は少しでも自殺を食い止めるためにマンガを描いています。/『マンガでわかるうつ病のリアル㉑』
公開日:2019/12/9
重度のうつ病に5年以上苦しむも「メンヘラマッスル作家」として奇跡の復活を遂げた錦山まるが、あなたの知らないうつ病のリアルを教えます!
心の病が引き起こす希死念慮(きしねんりょ)、自殺願望…
死にたいと言っているヤツは死なない、だと!? それは、うつ病には当てはまらねぇ。
突然ですがみなさん、うつ病に苦しむ家族・恋人・友人などから「死にたい」と言われたらどう思うでしょう? まずビックリはするでしょうけど「それぐらい誰にでもある」や「自分で死にたいと言っている人は死なない」など、“すぐに自死の危険性までは考えない”という人がほとんどではないでしょうか?
確かに「死にたい」と思ったことなんて誰でもあると思います。そう口にするも、何だかんだでいつも通りの日常に戻ったという経験もあるかもしれません。
ですが、だからと言ってうつ病の人が口にする「死にたい」を軽く考えるのはあまりに危険です。うつ病は自殺率がとても高い病気です(※厚生労働省のサイト「みんなのメンタルヘルス」参照)。
会話でよく使われる「死にたい」は、「何もかも投げ出してどこかに行きたい」と近い意味だよな。
筆者はこのマンガを描く数年前に重度のうつ病と診断され、その治療生活の途中で何度も「死にたい」「楽になりたい」「もう死なせてくれ」と周りに訴え続け最後は自死を実行しました。筆者は運良く助かりましたが、同じように周りに訴え同じように自死を選び、助からなかった人は大勢いるでしょう。
うつ病だけがつらいわけではないのですから、あなたや健康な人が何かで「死にたい」とまで思ったとしたら、そのつらさを軽く見るつもりは全くありませんし、うつ病の人の「死にたい」より下だとも思いません。ですが、恐らくあなたの「死にたい」とうつ病の「死にたい」は種類が違います。
思い返してみて欲しいのですが、あなたが今までに思った「死にたい」は「今抱えている仕事や勉強や家庭など、全ての問題を投げ出して誰も自分を知らない場所に遊びに行ってゆっくりしたい」に置き換えることができるのではないでしょうか?
自己否定が極限まで高まった危険な状態だということを知ってくれ。
ですが、うつ病の「死にたい」は置き換えられないのだと思います。ではうつ病の場合は何に置き換えられるのか、と聞かれたら個人差があるので『コレ!』という1つを正解かのように挙げることはできません。筆者の場合は「クソみたいな人生だから早く終わりにして人生ガチャを引き直したい」「こんな状態が続くなら生きていたくない」でした。他の人に聞いてみたところ「自分は迷惑をかけるだけの存在だからみんなのためにも早く消えたい」「自分なんか存在しなかったことにしたい」「消えてなくなりたい」「早く死ななくてはいけない」「この苦しみから解放される1番楽な手段だから死を選びたい」「希望なんかないから今のうちに終わりにしたい」…などの答えが返ってきました。
あなたの「死にたい」とうつ病の人の「死にたい」は言葉こそ同じでも、多分中身は違います。中身が違うのですから、あなたが自分を基準に考えてかけた言葉がむしろ相手を追い詰めてしまうということも起きるでしょう。
どうか軽く考えたりせず、「自分で死にたいって言っている人は死なない」などと決めつけず、警戒し、あなた1人でどうにかしようとせず、精神病院への入院など専門機関に頼ることも視野に入れておいてください。大切な人を失わないために。
錦山まる=2009年にプロ漫画家デビュー。月刊誌で連載を持ち単行本を出すも2013年に重度のうつ病と診断され、5年近く自宅療養の日々を送る。病気が回復するにつれ、同じようにうつ病に苦しむ方を1人でも楽にしたいと著書出版やSNSによる啓蒙活動に取り組む。著書に『「うつ」は甘え?ググれカス。』『きっと元気になれるから』他
Twitter:@nishikiyamamaru
錦山まる公認bot:@marurunzmemo