ボーナスの額に一喜一憂しない! 副業で4000万円の収入を得る会社員著者による、サラリーマンの知見の活かし方

ビジネス

公開日:2019/12/10

『転職と副業のかけ算 生涯年収を最大化する生き方』(moto/扶桑社)

 今、筆者は満員の通勤電車に揺られている。本業である都内のIT企業へ出勤するためだ。毎朝約1時間もある通勤の時間は、案外いろいろなことができる。大概は好きな作家の小説を読んでいるが、スマホひとつあれば、こうして「副業」の原稿を書くことだって可能だ。

 この時期、世のサラリーマンたちの多くは、ボーナスの額に一喜一憂しているだろう。だが、変化の激しいこれからの時代、業績連動のボーナスは、いつまでもあてにできるものではない…。そこで本稿で紹介するのが『転職と副業のかけ算 生涯年収を最大化する生き方』(moto/扶桑社)だ。本書を読めば、安定して収入を増やしていくための、転職や副業といった選択肢が現実味を帯びてくるだろう。著者は、リクルートなど人材系のキャリアを持つmoto氏(@moto_recruit)。彼は、本業で培った転職や副業に関する知見をTwitterやnoteで発信するサラリーマンで、本業以外でなんと年間4000万円もの収入を得ている。金額を聞くと「自分には無理」「たまたまうまくいっただけ」と考えてしまいがちだが、彼の成功は決して特別なことではない。本稿では、「普通のサラリーマンの副業」にフォーカスし、moto氏の考え方を紹介していく。

■「自分がこれまでに溜めた知見」には実は価値がある!

 サラリーマンは、日々組織で働きながら、さまざまなことを学んでいる。たとえば、業界の知識や自分なりの営業ノウハウ、会社近くの飲み会にちょうどいい居酒屋…などなど。多くの人は、こうした知見を外の世界に持ち出そうとしない。部の後輩に直接教えることはあっても、コンテンツとしてネット上に公開することはない。本当は宝の山なのに、その価値に気がついていないのだ。営業の基礎をnoteで公開すれば、満足な研修を受けていない新卒の営業マンに喜ばれるかもしれない。会社の最寄り駅の居酒屋情報をつぶやけば、初めてその地を訪れる誰かの助けになるかもしれない。もちろん、ものによって需要のあるなしはある。だが、自分にとって「当たり前」のことは、誰かにとっての「喉から手が出るほどほしい情報」だったりするのだ。

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■サラリーマンには「コンテンツ配信」型の副業が向いている

 サラリーマンは、副業に使える時間が限られている。基本的には週5日間、日中7時間以上は本業に拘束されているだろう。著者は、そんなサラリーマンには「コンテンツ配信」型の副業が向いていると語る。ブログやTwitterなどのコンテンツ配信は、始めるために大きな投資を必要としない。また、個人で発信していれば、得られる収入は人気次第でいくらでも上がっていく。そのため、お金が稼げる仕組みをつくりあげれば、時給で働くよりもうんと大きい額を稼げるようになるのだ。

「本業」を「副業」に生かす――。著者のこの考え方は、IT企業に勤めながら、副業としてライターをやっている筆者も日々実感していることだ。たとえば、今回のように、働き方や副業に関する本のレビューであれば、こうして自分の例を交えながら、実感のこもった記事を書くことができる。

 本書ではほかにも、副業で発信するテーマの選び方や、個人ブランディングの方法を紹介している。詳しく読んでいけば、普通のサラリーマンでも、自分が副業で稼ぐ姿をきちんとイメージできるようになるはずだ。さて、もうすぐ、満員電車が会社の最寄り駅につく。「本業」に戻ろう。

文=中川凌