「他人のためにムダに時間浪費してない?」 ホリエモンが語る自分のための時間術

ビジネス

公開日:2019/12/9

『時間革命 1秒もムダに生きるな』(堀江貴文/朝日新聞出版)

「なんか、会社ってムダなことが多くない?」
同時期に社会に出た学生時代の友人たちと喋っていると、しばしばそういう話になる。報告するだけの会議、抜けづらい飲み会、成長を感じない雑用…。
 
「こんなのおかしい!」と愚痴をたれながらも、若手社員の身分で声をあげてルールを変えることはそう簡単ではない。ともすれば、「これが社会ってやつね…」と受け入れてしまいそうになる。だがそれでも、私たちの「時間」は何よりも大切で、諦めてはいけないものだ。
 
 これまでたくさん稼いできたであろう堀江貴文氏は、『時間革命 1秒もムダに生きるな』(堀江貴文/朝日新聞出版)の冒頭で、こう語る。

“「Life is Time」――時間は人生そのものだ。ぼくたちの人生の価値が湧き出てくる源泉なのだ。”

 お金は必要ならば稼げばいい、だが、失った時間は二度と戻らない…。よく「Time is Money」というが、堀江氏は、「時間の価値はお金以上だ」という。

■大原則は、「他人の時間」を減らすこと

 あなたは、どれくらい「自分の時間」を生きているだろうか。著者のいう「自分の時間」とは、好きな仕事や趣味、気の合う友人との飲み会などのこと。反対に、「他人の時間」とは、やらされている仕事、通勤、気をつかう飲み会などである。「他人の時間」をすべてなくすことはむずかしくても、なるべく「自分の時間」を作ろうとすることが、人生の質を高める重要なポイントなのだ。

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 まずは、自分の生活スタイルの中から、「自分の時間」と「他人の時間」を洗い出してみよう。そして、「他人の時間」については「本当にこれは必要?」と、問いなおしてみよう。気の合わない友人・職場の人とは、うまく距離をとればいい。家でできる仕事は、リモートワークに切り替えればいい。すぐ劇的な変化は訪れなくとも、こうしたことを積み重ねていけば、「自分の時間」が増え、ぐっと人生の質は高まるはずだ。

■「すきま時間」は、「黄金の時間」

 でも何から取り掛かればいいのか…と悩んでしまう方向けに、少し具体的なライフハックを紹介したい。

 著者は、「すきま時間」の使い方にも余念がない。電車で営業先に移動するまでの5分間。飲食店で料理が出てくるまでの5分間。たとえばニュースサイトなどで能動的に情報収集できていればいいが、大して興味もないスマホゲームをポチポチしているだけでは時間がもったいない。堀江氏のおすすめは、あらかじめ「そこでやる作業」を決めておくこと。「この5分であの資料を確認しよう」「この30分であの作業を終わらせよう」といった調子だ。

「すきま時間」でやるメリットは、「締め切り」があること。筆者がライター職として常々感じることだが、締め切りのプレッシャーは仕事を効率化する。ムダに余裕があると、なかなか完成しなかったり、出来上がったものを見ながら「本当にこれでいいのか…?」と悩み出したりしてしまう。細切れの「すきま時間」に小さなタスクを埋めていけば、サクサクと効率よく物事を片付けられるはずだ。

 本書ではほかにも、堀江氏らしい「時間術」が快刀乱麻の勢いで語られる。中には「会議中でも能動的にスマホをいじる」という一見非常識とされることも書かれている。だが、これも本書を読めば著者の考えにも“理”があることがわかるはずだ。そもそも、ムダな時間を生み出している原因は、「常識」とか「世間体」といった旧式のルールだったりするものだ。本書を読むことは、そうしたものから解き放たれる第一歩にもなるだろう。

文=中川凌