池袋最強の“風俗嬢”が『異世界でも風俗嬢やってみた』――現代に戻るため、ファンタジー世界の男たちにご奉仕!
更新日:2019/12/20
ここ数年、ライトノベルやマンガで非常に勢いのあるジャンルといえば、「異世界転生もの」だろう。ストーリーのベースとなるのは、地球にいたごくふつうの人間が、ひょんなきっかけでファンタジー世界へと飛ばされてしまう、というもの。そこから先の展開は、実にさまざま。転生先で勇者と崇められ、魔王を倒す旅に出るものもあれば、ファンタジー世界でのんびり暮らす日常系もある。最近では、グルメと異世界をかけ合わせたものも人気だ。
しかし、そんな異世界転生ものに、ちょっと、というかかなり特殊な設定の作品が登場した。それが『異世界でも風俗嬢やってみた』(森尾正博/芳文社)である。そう、タイトルを読んでお察しの通り、本作は風俗嬢が異世界で活躍するという、これまでになかったような異世界転生ものなのだ。
主人公のゆづきは、池袋の風俗で働いていた風俗嬢。3年であらゆるテクニックを習得し、夜の世界で大活躍していた。……のだが、なぜか異世界に飛ばされてしまう。どうやら、現代に戻るためには、「戦士」「魔法使い」「獣人」「300歳以上」など、あらゆる条件の男たちをエッチなことで満足させ、その魂を解放してあげる必要があるらしい。
それはゆづきの得意分野。彼女は条件を満たす男たちに声をかけ、次々と魂を解放していく。300歳を超えて童貞のエルフにはローションを使った極上テクを披露し、堅物の魔王は魅惑のおっぱいでとろけさせ、蛇型の魔獣は目隠しプレイで昇天させる。文字通り、身体を張るゆづきに、異世界の住人たちはもうメロメロだ。
本作の面白いところは、ゆづきのエロプレイがワンパターンではないところ。相手のフェチズム(性的嗜好)を見極め、それに合わせたプレイで、的確にイカせてしまう。池袋で3年修業したというのも伊達ではない。もはやゆづきのテクニックは、人種どころか人間とモンスターの壁すら超越しているのである。まさに、性によって世界征服すらできそうな勢いだ。
また、なによりもゆづきのキャラクターがいい。男性を悦ばせることを心から楽しんでる。だからこそ、読みながらゆづきを応援したくもなる。ただし、それ以上に、バカバカしくて笑ってしまうのだが。たまには、ここまでエロギャグに突き抜けた作品を読んで、頭を空っぽにしてみるのも悪くないだろう。
はたして、ゆづきは異世界の男たちを満足させ、現代に戻ってこられるのか。その風俗テクを存分に発揮し、頑張ってもらいたい。
文=五十嵐 大