【完治】セックスしよっ!/『マンガでわかるうつ病のリアル㉒』
公開日:2019/12/16
重度のうつ病に5年以上苦しむも「メンヘラマッスル作家」として奇跡の復活を遂げた錦山まるが、あなたの知らないうつ病のリアルを教えます!
「カーンチ、セックスしよっ!」なんてカンチしなきゃ言えないセリフ。
性欲がないから勃たない、濡れない、できない。
うつ病になると“三大欲求”がなくなる人がいます。食事、睡眠、性に全く興味が湧かなくなるのです。
…こう聞くと「食欲や睡眠欲はなくなったら困りそうだけど性欲はなくても大丈夫じゃない?」と思う人もいるかもしれません。実際に筆者も性欲がゼロになりましたが、特に困ることはありませんでした。
ですが、『夫婦どちらも子供が欲しいのに、性欲がないため濡れず入らずで上手くいかず申し訳なさがすごい』『前は性行為を積極的に楽しんでいたので急に拒むと嫌われる気がし、本当はしたくないのに応じるしかなかった』『体に触れられるのも気持ち悪く感じてしまい、夫を拒み続けていたら不倫された』『濡れなくて痛いから今日はできないと彼氏に伝えたら「なら口でして」と言われて悲しかった』…などと、聞くだけで心苦しくなるくらいつらい事態になる人もいます。
セックスができないと人間関係に支障が出るから苦しいんだ。
パートナーを嫌いになったわけではないのに、求められることが苦痛になる。要求にちゃんと応えることができない。好きなのに拒んでしまうことに自己嫌悪になる。そんなことになったらつらいから恋愛に積極的になれない…。
性欲がなくなるだけでこのように人間関係にまで悪影響が出てしまうこともあるのです。
ここでちょっと思い出してみてください。パートナーから求められたのに体調や気分などの問題で拒否をした、あるいは応じたのに上手くいかなくて相手がつまらなそうだったとき、どのような気持ちだったでしょうか? 罪悪感のような申し訳なさのような、何ともいえないモヤモヤがあったかと思います。
では求められるたびに毎回そんな気持ちになってしまったら…?
精神的に相当つらくなるだろうな、と簡単に想像がつくと思います。拒まれるのはつらいですが、拒むのもつらいのです。
誰だって、高熱のときや吐きそうなときは求められたくないよな。それと同じだ。
性行為は大切なコミュニケーションです。何も恥ずかしくなんかないのですが、それでも話題にするのはパートナー相手でも少し難しい。まして「性欲がなくなったので上手くできません」なんて、反応も怖いしなおさら言えないでしょう。
ですので、どうか大切な人を苦しめないためにも「うつ病でムリになる人もいるんだ」ということを覚えておいていただけたらなと思います。
高熱を出しているとき、頭痛がひどいとき、吐き気がすごいときなどに求められてもムリなのと同じように、うつ病という“病気”だからムリなのです。けっしてあなたが嫌がられているわけでも冷められているわけでもありません。
大切な人とできなくなるのはあなたもつらいと思います。だからこそ、性行為をこれからどうするか、あなたの性欲をどう処理するかを今一度考えてみてください。大切な人との未来のために。
錦山まる=2009年にプロ漫画家デビュー。月刊誌で連載を持ち単行本を出すも2013年に重度のうつ病と診断され、5年近く自宅療養の日々を送る。病気が回復するにつれ、同じようにうつ病に苦しむ方を1人でも楽にしたいと著書出版やSNSによる啓蒙活動に取り組む。著書に『「うつ」は甘え?ググれカス。』『きっと元気になれるから』他
Twitter:@nishikiyamamaru
錦山まる公認bot:@marurunzmemo