「庶民の主婦でも心は貴族」……超絶前向き『プリンセスお母さん』に学ぶ処世術
公開日:2019/12/21
母は家庭の太陽だ……なんていいますが、今、日本中の家庭を照らしかねないスーパーお母さんの存在が注目を集めています。その名も“プリンセスお母さん”です。
『プリンセスお母さん』(KADOKAWA)はもともとは、ギャグ漫画家の並庭マチコさんが自身の母や家族との日常を漫画にしてTwitterにアップしたことがはじまり。当初マチコさんは「親の言動ってなれてるけど、よく考えるとちょっと変だったりするよね的なあるあるのつもり」くらいの軽い気持ちでアップしたところ「爆笑しました」「お母さんすごい」というコメントが続々と集まり、自身の家族のリアルエピソードを投稿するようになったそうです。
たしかにプリンセスお母さん(以下、ママ子さん)と過ごす日々は奇行にあふれ……もとい、型破りではありますが、なかなかのハッピーライフであることはたしかです。ママ子さんの生き方には、笑いだけでなく毎日を明るく元気に過ごすヒントが隠されているような、気が、する……! ということで、ここではママ子さんの愉快な日々をご紹介します。
■底抜けの前向きさ
ママ子さんが「ラッキーだったな」とつぶやきます。聞けば、日課のエクササイズ中に誤ってダンベルをぶん投げて窓ガラスを割ってしまったそう。ママ子さんがエクササイズをしている時間帯は、マチコさんも家にいたはず。しかし、自室でヘッドホンを装着して作業をしていたため、マチコさんは窓ガラスが割れたことに気がつきませんでした。
では、窓ガラスが割れたことの一体何が「ラッキー」だったのか。その理由をママ子さんに尋ねたところ…
「マチコちゃんに怒られなかったから」
「え」
「やばい! 叱られる! と思ってたのにバレなかったからラッキー! って」
「子どもか! 怒らないよ」
(窓ガラスを割ったアンラッキーは気にしない、前向きな母だった)
多くの人は窓ガラスが割れ、修繕費がかかったというアンラッキーに目がいきがちです。しかし、ママ子さんは「バレなくてラッキー!」(後に自ら告白していますが……)と、ラッキー部分に注目。底抜けの前向きさを披露してくれるのです。
日々の不幸をすべて避けることは難しいですよね。それならば、不幸中の幸いを見つけてラッキーと思ったほうが楽しいじゃないか、そんなメッセージとも受け取れます。
■ほめるときは全力
マチコさんは言います。「私の作った料理に対する家族の反応がとてもおそろしい」と。その理由は、彼女が作った平凡料理を「ほめ殺し」にされるから。サラダ、グラタン、ハンバーグの3品を作った日は、あらゆる表現で家族がマチコさんを殺しにかかります。
母「こんなんじゃまるで…パーティーじゃない!」
父「ホテルビュッフェみたい」
母「美味しい! 店出そうよ!」
マチコさん「無理!!」
母「うちのプレハブで出せそうよ♡」
(ちなみに私のアンチである弟も料理はホメる主義)
弟「マチコさんと暮らすのは死んでもイヤながら…料理作ってくれるならアリかなって一瞬考えたけど やっぱり性格が無理すぎて全然ムリってなる!!」
マチコ「後半いる?」
並庭家のみなさんのように、些細なことでも褒めたり、感謝の気持ちを伝えたりすることができれば、家庭を円満に保つことができそうですよね。彼らのように日々の感謝や家族同士褒め合うのは、意外とむずかしそうですが、やってみる価値はあるのかも。
そして、同書の描き下ろしページでは、ママ子さんがフリーダムになった理由にも触れています。『プリンセスお母さん』を読むと、自分は家族にどんなふうに接していたかな、と振り返るきっかけになるかもしれません。
文=とみたまゆり