英語力の格差が収入の格差を生むといわれる時代に、子どもを日本でバイリンガルに育てるには?
公開日:2019/12/26
2020年から小学校でも英語が教科化されるということで、子どもの英語教育への関心が高まっている。将来の選択肢を増やすためにも、子どもをバイリンガルに育てたいと願う親は多いが、「日本語を話す両親と日本で暮らす子ども」をバイリンガルに育てることは可能なのだろうか?
『おうちでほぼバイリンガルの育て方』(主婦の友社)によれば、その答えはイエスだ。「両親が日本人」で「子ども時代に長期の海外滞在や留学を経験せず」「お金をかけずに家庭学習」で、子どもをバイリンガルに育てた4人の親が実践した英語学習法が、Case1からCase4に分けて紹介されている。
どのケースにも共通するのは、英語を生活の一部にして、子どもが毎日英語に触れるようにすること。これを基本としながら、それぞれに異なるアプローチを取っている。ここでは、Case1とCase2をご紹介しよう。
■Case1 廣津留真理さん
塾に通わずお金をかけず、娘さんが地方の公立校からハーバード大学に現役合格した廣津留(ひろつる)さん。娘さんが0歳の時から英語で話しかけ、1歳になった頃には英単語を覚えるためのイラスト入りカードを手作りしていたという彼女が心がけた成功のメソッドはこの3つだ。
1.単語の暗記は「飽きる1分前」にやめる
2.センテンスカードや英語絵本をなぞり読み
3.大きな声で文章を音読し、脳に英語をしっかりインプット
子どもに英語の勉強を押し付けるのではなく、「必要なものを用意し、ほめて抱きしめ、家族仲よくすること」が効果的なサポート法。日本語を身につける時のように、英語を英語として学ばせ、子どもの好奇心を刺激しながら、飽きる前にやめて「またやりたい」と思わせることが大切だそう。母国語である日本語も大切にしており、日本語の絵本の読み聞かせなどもしている。
■Case2 行正り香さん
料理研究家として有名な行正(ゆきまさ)さんも、2人の娘にバイリンガル教育をした親のひとり。子どもにどうやって英語を学ばせるべきか、トライ&エラーで行き着いたのは「アプリ」だった。そんな彼女の成功のメソッドは…
1.be動詞と一般動詞の基本を6年生までにマスターする
2.4年生から英語学習を加速させる
3.英語アプリで1日8分、声を出す
小学校卒業までに基本の文法を学び、英語の勉強のベースづくりをする。ものごとを論理立てて理解できるようになるのが小学4年生頃なので、その頃から英語学習を加速させたそう。Case1の廣津留さんのように、行正さんも「子どもに飽きさせない」ことを重視しており、集中できるのが最長で8分程度であったことから、その範囲で学べるアプリ「カラオケEnglish」を自ら開発した。
英語の勉強を開始した時期や、具体的な勉強法は異なるものの、基本的な考え方は共通する2つのケース。子どもに学ばせるには、とにかく飽きさせないことや、ほめたりご褒美をあげたりすることがポイントのようだ。学びのスピードや量には個人差があると思うが、幼少期に「英語は楽しい」とインプットされれば、途中で英語から離れる時期があっても、必要な時に気軽に勉強を再開できるだろう。
本書では、4人の方の英語勉強法が細かく紹介されているので、家庭環境や子どもの性格に合わせて組み合わせることも可能。それぞれのケースの息子さん、娘さんへのインタビューや、バイリンガル子育てのお悩みQ&Aなども掲載されているので、「子どもに英語を身につけてほしいけれど、何から始めればいいか分からない」という方にオススメしたい1冊だ。
文=松澤友子