「質問」は上手な方が断然トク! 相手の悩みを引き出し、自分に有利に進める最強スキル
公開日:2019/12/25
会社での生活に慣れてくると、だんだんと「質問」する機会が減っていく。新卒や転職で働きだしたばかりの頃はハキハキと何でも周りに聞いていたのに、最近は会議や商談でもあまり質問しない…。そう感じている社会人は少なくないはずだ。それは、あなたがその仕事のことを熟知してきたからでもあるのだが、やはりそれでは「もったいない」という。
質問は、自分の知りたいことを明らかにするためだけのものではない。そう語るのが、『博報堂クリエイティブプロデューサーが明かす 「質問力」って、じつは仕事を有利に進める最強のスキルなんです。』(ひきたよしあき/大和出版)だ。
本書によると、質問とは、自分の仕事を有利に進めるために相手の懐に入り込み、同じ道を目指す「仲間」にしていくひとつの技術だという。自分の頭の中で考えているだけでは、いいアイデアはなかなか生まれてこない。「質問力」で相手から情報や反対意見を引き出せるようになれば、一皮むけて、より大きな成果を出せるようになるはずだ。
■まずは、「自問自答」してみることが大切
「質問力」が大事なことはわかっても、いざ実践するとなるとむずかしい。そこで、著者が本書で推奨しているのが「自問自答」。自分の行動や感情に対して、ひとつひとつ「なぜこうしたのか?」「なぜこう思ったのか?」と自問し、立ち止まって考えるクセをつけよう。
■自分語りだけでなく、主語を「あなた」に変えてみると?
自問自答のクセがついたら、いよいよ他人に対して質問の実践だ。本書に掲載されている質問テクニックのなかでも筆者がおもしろいと思ったのは、「主語を『あなた』に変える」というポイント。たとえば商談の場で、「私が」「自社製品が」と、自分たちのことばかりを語るのではなく、「あなたは、今何に困っていますか?」「あなたはどう感じましたか?」と聞いてみるのだ。この「二人称の疑問形」を意識すれば、自然に相手のことを聞き出すことができるはずだ。
■まとめは相手にやらせよう!
本書はもうちょっと高度な質問ノウハウとして、「相手に考えをまとめさせる」という方法を挙げている。人と話していると、自分の意図しないところで相手が脱線したり、話がそれてテーマが見えなくなりがちだ。そんなときは、こちらから質問を投げかけ、相手の話を相手自身にまとめさせよう。具体的には、「○○ということは、どういうことですか?」とか、「そうすると、どうなりますか?」という質問で、相手が自分の考えを整理するように促すのだ。そうすると、うまく本筋に戻りつつ、新たな気づきが得られることもある。
本書には、この他にも「質問力」に関する実践的なテクニックが満載だ。たとえば、「相手の話を聞いていることを伝えて信頼を得るコツ」や「感情を揺さぶり本音を引き出す方法」などもわかりやすく紹介されている。「質問力」は、社内/社外を問わず、さらには、ビジネス/プライベートを問わず、より高い成果を引き出す「コミュニケーション」の力だ。ぜひ意識的に鍛えてみてほしい。
文=中川凌