インドの性愛法カーマスートラがベースのヨガで膣を活性化&女性の悩みを改善〔前編〕

健康・美容

更新日:2019/12/29

 出産をした女性や、年齢を重ねた女性は膣がゆるみがちになり、更年期に似た症状や、尿もれ、便失禁などに悩んでいる方が少なくないそう。ですが、近頃は若い人にもその症状が見られる、と『膣活! カーマスートラ ヨガ』(KADOKAWA)の著者であり、日本女性ヘルスケア協会会長の鈴木まりさんはいいます。

鈴木まり(以下、鈴木):膣がゆるむのは、下半身の筋力の弱さに原因があります。下半身は体の全体の筋肉の7割を占めるといわれているのですが、その筋肉が少なくなると全身の代謝が悪くなります。筋肉の収縮によって全身の血流の流れが行われるのですが、そもそも筋力が少ないため、血流の流れが悪くなり「冷え」や「内臓の活動が鈍化」してしまうのです。そうなると今度は女性にとって大切な子宮のパフォーマンスも悪くなり、「生理痛」「PMS(生理前症候群)の悪化」「イライラ」や「女性ホルモン分泌の低下」につながっていくのです。

――ではなぜ下半身の筋力を鍛えることが、膣を活性化させるのに効果があるのでしょうか?

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鈴木:肛門をギュッとすると、同時に膣がギュッと締まる感覚がありませんか? 実はこの肛門を締める動きによって、肛門括約筋とそれをサポートするお尻の筋肉、さらに体を支える大きな太ももの筋肉を活性化させているのです。ですから、膣を締める=下半身の筋力アップにつながり、体調を整え、女性ホルモンが正しく分泌されるようになるのです。

――今回、「カーマスートラ」をベースにしたヨガポーズで膣を活性化させることがテーマになっていますが、カーマスートラというとインドの性愛法というセクシーなイメージがあるのですが?

鈴木:カーマスートラはセックスの体位だけを伝えていると思われがちです。でも実はインド哲学の一部で「女性が自立して生きていくための技術」が書かれていて、その女性の生き方術のひとつとして、性愛法が記されているのです。“性愛”というとついひっそりと“隠しておかなくては”と考えてしまいますが、そもそも人間の営みにはとても大切なものですよね。男女の間で愛を伝え合うことで、子孫繁栄につながり、より人々が栄えていく…。

 これはインドのみならず日本でも同じで、今でも日本の田舎へ行けば道祖神として男根をかたどったものが祀られていたりしています。性って本来はおおらかなものなんですよね(笑)。今回はその性愛法のカーマスートラをベースにしたヨガのポーズをとることで、ひとりでポーズをとって膣を活性化させるのはもちろんですが、ポーズのベースとなったカーマスートラをパートナーと楽しむことで、お互いの温もりを伝え合い、より女性ホルモンを活性化させるという楽しみ方もできます。

――カーマスートラ、つまり性愛は健康維持にもひと役買っているんですね!

鈴木:そうです。いってみれば、性愛とは、医者や薬もない古代からある原始的なセラピーです。つまり、男性が陽、女性が陰、セックスにより物理的に陰陽重なり合うことで心身の健康を保つと考えられていました。パートナーと抱き合うことで、オキシトシンやドーパミンなどの幸福ホルモンが促されますし、さらには血流もアップして内臓も活性化します。血巡りアップと幸福ホルモン分泌によりストレスから解放され、自律神経が整ってダイエットや、良い睡眠、美肌にも効果があるのです。ぜひこのカーマスートラ ヨガでご自身の健康はもちろん、パートナーとの関係も深めていただきたいですね。

膣の締まりを戻し、パートナーとも楽しめる3つのポーズ

①ゆれるワニのポーズ

「ゆれる動きは、心も筋肉もリラックスをさせます。性交時に緊張で痛みを感じる人はこのポーズでより男性を受け入れやすくなります。また筋肉をリラックスさせるポーズなので、自分の膣圧をコントロールしやすくなり、女性がリードしながらセックスを楽しむことができます」

<ポーズのとり方>
①うつ伏せになり、かるく脚を開く。
②両手はおでこの下に重ねておき、体重を床に沈めるように全身の力を抜く。
③力を抜ききったら、お尻だけを左右にゆっくりゆらす。
④鼻から吸って口から吐く腹式呼吸を繰り返しながら、1~2分ゆれる。

 うつ伏せになった女性の背後からパートナーがフィットするポーズ。男性は深く入り込むと同時に、太ももに圧をかけることで、より快感を強くすることができます。

②カエルのポーズ

「女性らしさを一番映し出すウエストからヒップまでのフォルムを男性が堪能することができ、視覚的な刺激も強いポーズです。女性も自分の思うように動きやすいポーズで、膣に力を入れやすいポーズです」

<ポーズのとり方>
①内股座り(ぺたんこ座り)になり、太ももは開く。
②両手を前につきながら、そのまま四つん這いになる。
③お尻を床から10センチ離し、肛門と膣を締め腰を反らす。
④そのまま鼻から吸って口から吐く腹式呼吸を6回(1分)

 パートナーと同じ方向を向いてまたがり、フィットするポーズです。女性がより快感を得るために好きに動くことができます。

③固定している釘のポーズ

「女性が開脚することで下半身を鍛えるのに効果的で、しかもパートナーとのフィット感もより楽しめます。女性が相手のおでこ(第6チャクラ=神経系を司る場所)をかかとで押さえることで、より女性本位でセックスを楽しむことができるポーズです」

<ポーズのとり方>
①仰向けになる。
②右脚を上げて膝を胸に寄せる。
③足の指先を手でつかみ、胸の方へさらに引っ張る。
④左脚は浮かないように床から離さずまっすぐに伸ばす。
⑤そのまま鼻から吸って口から吐く腹式呼吸を6回(1分)。
⑥逆も同じく繰り返す。

 女性の柔軟性は必要となりますが、より奥までパートナーとフィットできるポーズです。

イラスト=とみたかえり、文=知野美紀子、撮影=内海裕之

【著者プロフィール】
鈴木まり

日本女性ヘルスケア協会長。株式会社ロサ代表取締役。JOHORETCH(ジョホレッチ)開発者。日本アーユルヴェーダ学会員。アーユルヴェーダマイスター(日本セラピスト&マイスター協会認定)。国際薬膳師・中医薬膳師。アーユルヴェーダサロンROSAにてセラピスト、心のカウンセラー、ジョホレッチインストラクターとしても活動。2010年「首都圏ベストセラピスト」に掲載される。コラム執筆、雑誌監修、著名人やタレントなどへのプライベート指導も行っている。