組織をマネジメントするリーダーに欠けている「最も大切な視点」が幼稚園にある事実
更新日:2020/6/24
職場でリーダーやマネジメントを任される人は、毎日大変な思いをしているに違いない。あの人は毎日遅刻してくる。あの人が指示を聞いてくれない。あの人とあの人は折り合いが悪い。知らない間に奇妙な派閥が誕生した。上司は協力的どころか「予算を削減せよ」と小言を重ねる。こんな職場環境でチームをまとめ、成果を出すなんて不可能だ。
「自分にはリーダーやマネジメントの能力が足りないのではないか?」
真面目な人はそう感じて書店に足を運ぶ。そしてまた絶望する。
「どのビジネス本を選べばいいんだ?」
リーダーによる強いけん引力を発揮せよ! と謳う本があれば、弱くても謙虚なリーダーが組織を活性化させる! と謳う本もある。いったいどれが正しいのかさえ分からない。
そんなときは、ぜひ自身が幼稚園に通っていたときを思い出してほしい。職場でリーダーとしての役割やマネジメント業務に苦戦したときほど、ビジネスの現場から遠くかけ離れた幼稚園に答えがあるのだ。
こう断言するのは、『MBAでは教えてくれない リーダーにとって一番大切なこと』(彩流社)の著者であり経営学修士(MBA)を取得した森田晴彦さんだ。
■リーダーにとって最も大切なことは「礼節」
森田さんは現在、自身の母親が経営する幼稚園の副園長を務める。副園長を務めたきっかけは、幼稚園で職員同士の問題が多発し、それにより保護者からの信用を失って園児が離れ、経営危機を招いたこと。当時森田さんは一部上場の金融機関勤務を経て、一般企業の経営をバリバリ行っていたが、自身のMBAスキルを活かすため、なんと幼稚園の副園長として経営再建に乗り出した。
ところが当初は不振に陥る。MBAのスキルを活かそうと、職員たちに「この幼稚園も差別化を図るべきだ!」と主張したが、職員には差別化という用語が理解できず、「幼稚園児を差別するべきだ!」と間違って伝わりそうになったほどだった。
それでも現在は無事に経営を再建できた。10年連続で赤字だった当時から一変、今では7年連続で黒字を達成。毎年定員を大幅に超える入園希望を集めるという。
いったい森田さんは幼稚園の中で何を学んだのか。本書で一番強く訴える、リーダーにとって最も大切なことは「礼節」だ。「なんだそりゃ!」と思わずひっくり返った人もいるだろうが、そんな人にほど問いたい。
果たして数ある日本企業の中で、どれくらいの組織がチームのメンバー同士で尊敬し合って、コミュニケーションを密接に取り合い、仲良く楽しく仕事ができているだろう?