「いいね!」のためなら何でもやります。窓際部署のアラサーOLとドS上司が大奮闘――『#誰か『いいね!』を押してくれ』

文芸・カルチャー

更新日:2020/5/11

『#誰か『いいね!』を押してくれ』(星奏なつめ/メディアワークス文庫/KADOKAWA)

 恋に不器用な社会人たちの恋愛模様を洒脱に綴った『チョコレート・コンフュージョン』シリーズで、絶大な人気を誇る星奏なつめさん。待望の新作ラブコメ『#誰か『いいね!』を押してくれ』(メディアワークス文庫/KADOKAWA)が12月25日(水)のクリスマスに発売された。

 日用品メーカー「ミモザ・プディカ」の窓際部署に所属するアラサーOL、小芋菜々美。パッとしない日々をきらめかせたいという思いから、インスタグラム界のスターを目指すことにする。しかし、ドS上司の冬真義宗から「ダサダサセンスの芋子には無理!」とバッサリ切り捨てられてしまい――。

 けーしんさんによる表紙を、よ~く見てみてほしい。

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 ショートボブの菜々美はとてもかわいらしいけれど、服のセンスは少々……いや、かなり独特なものが漂っているとは思わないだろうか。髑髏模様のブラウスに、シマウマを思わせる横縞スカート。パンプスのヒールは五寸釘型だ。

 壊滅的なファッションセンスをものともせず、インスタという名の戦場に足を踏み入れようとする菜々美。そんな彼女を「インスタなど暇人のやること」と一笑に付する冬真。しかし彼の正体は、菜々美が憧れる神インスタグラマー「空透」なのだった――。

 フォロワーを増やすべく“映える”1枚を求めて奮闘する菜々美こと、ユーザー名「ハイセンスガール☆なな」。“ド素人が!”という目で彼女を見守り(?)つつ、常軌を逸したインスタ活動に強迫的に打ち込む冬真こと「空透」。

 2人交互の視点によって物語は軽快、かつポップに進んでいくけれど、星奏小説の常として現実的なテーマが底の方には潜んでいる。フォロワーのほとんどいない菜々美にせよ、フォロワー10万人目前の冬真にせよ、どちらも承認欲求という名の病に囚われているのだ。