衛生マスクではウイルス予防できないって本当!? 正しいマスクの選び方や着け方を解説

健康・美容

公開日:2019/12/30

『マスクの品格』(大西一成/幻冬舎)

 インフルエンザが猛威を振るいはじめるこの時期は「マスク」が手放せないという人も多いだろう。近所のドラッグストアでまとめ買いして、通勤通学時に必ず使用しているという人もいるはずだ。
 
 だが、マスクを着けてウイルス対策をしている時にふとこんな疑問を抱いたことはないだろうか?
「たった1枚のマスクで、本当にウイルス感染を防げるの?」
もしそう不安に思ったら、手に取ってほしいのが『マスクの品格』(大西一成/幻冬舎)。本書は科学的検証やイラスト解説を交えながら、正しいマスクの選び方などを説く1冊。マスクを正しく理解することで人生をより豊かにしようと訴えかけるものだ。
 
 近ごろは「小顔に見えるマスク」や「香るマスク」といった付加価値のついたマスクも多く発売されている。そんな時代でもあるからこそ、今一度初心に戻って、“マスクを着ける意味”を考えてみたい。

■マスクでウイルス感染を予防するのはムリ!?

 ドラッグストアやコンビニ、あるいは100円ショップなどで売られている「衛生マスク」には、「空気中の微小粒子を99%カット」という謳い文句が記されていることも。こうした説明を見ると、このマスクを着けていれば安全だと思うかもしれない。だが、現在発売されている衛生マスクでは、空気中に浮遊している細菌やウイルス、花粉などを体内に取り込まないようにするのはほぼ難しいと大西さんは指摘する。

 実は、衛生マスクは感染者が身につけ、周囲の人への感染を予防するためのエチケット用なのだそう。そのため、ウイルスなど空気中の浮遊物を体内に取り入れないようにするには、「防じんマスク」を選ぶことが必要になるのだ。

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 しかし、防じんマスクを身に着けていても、油断は禁物。近ごろでは「N95マスク」を着用していれば安全だという風潮が広まっているが、この考え方に頼るのは危険だと大西さんは語る。たしかに、衛生マスクよりもN95マスクのほうが防じん目的で作られてはいるため効果は高いが、着ける個々によって顔の骨格は異なるため、顔に合ってないマスクを着用していると隙間からウイルスが侵入してしまう。自分の顔にフィットする防じんマスクを着用していなければ、安全であるとは言いがたいのだ。

 本書では、着用目的別に正しいマスクの選び方を解説。ウイルスや花粉予防だけでなく、災害時やPM2.5から身を守りたい時にどんなマスクが役立つのかについても言及している。さらに、学校では絶対に教わらない、「正しいマスクの着け方や外し方」もイラスト付きで紹介。こちらはぜひ、普段の自分を振り返りながらチェックしてみてほしい。

 私たちは普段マスクを購入する時、入っている枚数や値段で判断することが多い。あるいは人によって選択基準は色のバリエーションだろうか。一番大切なのは「自分の着用目的に合っているかどうか」だ。万人の顔に隙間なくフィットし、多目的を同時に達成できるような万能マスクは、残念ながらまだ存在しない。どのマスクにも、長所と短所がある。だからこそ、自分自身に「なぜ私はマスクを着けるのか」と問いかけながら、自分の目的に合った“良いマスク”を見つけていく必要があるのだ。

 正しい知識を持っていないと、いざという時に自分の身は守れない。大西さんが語る“マスクの真実”はマスクの奥深さに気づくきっかけにもなるだろう。あなたが抱いているマスクの常識も変わるに違いない。

文=古川諭香