「家族はみんな仲がいい」人ほど要注意!/『プロが教える 相続でモメないための本』①

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公開日:2020/1/20

相続争いは他人事と思っていませんか。「遺産が少ない」「家族はみんな仲がいい」「信頼している税理士がいる」1つでも当てはまる方、あなたは相続争いの当事者になりやすいタイプです。
3000件の相続を手がけたプロが教える、相続をスムーズに進めるためのノウハウを数多く掲載! 事前に学んで、相続争いを回避しましょう。

『プロが教える 相続でモメないための本』(江幡吉昭/アスコム)

 相続争いは他人事と思っていませんか?

「遺産が少ない」「家族はみんな仲がいい」「信頼している税理士がいる」そんなあなたこそが、実は相続争いの当事者になりやすいタイプです。

 相続争いを回避するためにもっとも重要なのは事前の準備です。

 ところが、「ウチには相続争いなんて関係ないよ」「相談できる人もいるし」そう思って何も対策せず、結果として骨肉の争いになってしまった……そんな人々を、私は数多く知っています。

 相続争いは年々、増えています。家庭裁判所の統計によると、ここ7年で23%も増加しています。こうした相続争いを、最近では「争族(あらそうぞく・そうぞく)」と呼び、テレビのワイドショーや週刊誌でもたびたび取り上げられるようになってきました。しかし、なぜ、「争族」が増えているのでしょうか。

 理由はいくつかあります。

 高齢化が進み、当事者の数が増えたこと。長子相続の習慣がくずれ、兄弟が平等に権利を主張するようになったこと。意外なところでは、未成年などの働いていない子や孫が権利を主張することで「争族」になりやすい傾向があります。

 私はこれまで、3000件を超える相続案件に関わってきた中で、「争族」によって人生がめちゃくちゃになった人々を嫌というほど見てきました。そんな人をひとりでも減らしたい――。その思いでこの本を書きました。私の今までの経験をもとに「争族」を避ける方法を数多く編み出し、この本に掲載しています。

 相続争いを防ぐには、多岐にわたる知識が必要です。

 相続の際に、知り合いの税理士に頼む人は多いと思います。専門家だから大丈夫。そう思うのでしょうが、それが落とし穴です。相続は、税の知識だけでなく、法律の知識も重要です。そうした知見をトータルで駆使できる本当の意味での「相続のプロ」は極めて少ないのが実情です。

 この本には、「相続のプロ」として活動してきた私が持っている知見を整理して、分かりやすくお伝えするように心がけました。本書では第1部で、実際に起きてしまったさまざまな「争族」のエピソードをご紹介しています。

「争族」は他人事ではないこと、ご自身の家族に起きる可能性のあることが分かってもらえるでしょう。

 第2部では「相続の基本」を解説するとともに、「争族」を防ぐための究極の方法でもある「遺言」について詳しく解説しています。最近、40年ぶりに法改正が行われ相続制度が大きく変更されました。その対応策も書かれています。相続の基本の「き」から、争族をなくす方法まで幅広く網羅しました。

 この一冊をきっかけに、この世から「争族」という言葉がなくなる日が少しでも近づくことを願っています。

(※)なお、法律に関する助言等は提携弁護士法人が行っており、著者は法律に関するアドバイス等は行っていないことをお含みおきください。

<第2回に続く>