現役東大生が教える“使える”アイデアの生み出し方/『「発想力」と「想像力」を磨く 東大アイデア』①

ビジネス

公開日:2020/1/31

「天才的なひらめき」や「センス」は必要なし!

「目的」「調査」「発想」――3つの仕組みで「使えるアイデア」を生み出そう!

偏差値35から東大に合格した、現役東大生の著者が試行錯誤のうえ完成させた“東大アイデア”を初公開!

この連載ではその一部、日常からアイデアを【発想】する技を紹介します。

『「発想力」と「想像力」を磨く 東大アイデア』(西岡壱誠/マガジンハウス)

はじめに/偏差値35で2浪の僕が身につけた「東大アイデア」

「アイデア」って何だろう…?

 みなさんが“東大アイデア”というタイトルの本を手に取って、この「はじめに」を読み進めようとしているということは、「アイデア」の作り方や「発想」の仕方を知りたい……ということだと思います。

 そして僕も、「アイデア作り」や「発想の仕方」について語らせていただこうと考えているわけですが、だからこそ最初にお聞きしたいのです。

 アイデアって一体なんでしょうか?

 アイデアを作るって、どういうことでしょうか?

「突飛で面白い考え方のことを“アイデア”と言い、それを作り出そうとすることを“アイデア作り”と言う」

「斬新な思いつきのことを“アイデア”と言い、それを思いつける人のことを“発想力がある人”と言う」

 恐らく多くの方は、こういうイメージを持っていると思います。アイデアというのはすごく面白い考えのことで、それを思いつくためには才能や高度なスキルが必要だから、「アイデア術」を学びたい―と。

 しかし、そうではないんです!

 アイデア作りというのは、難しいものではありません。

 英語で「idea」というのは「考えること」それ自体を指す言葉です。

 多くの人は、「アイデア」というものを難しく考えすぎです。そうではなくて、アイデア(idea)というのは本来「自分の頭で考えること」なのです。

 アイデアは、誰でも簡単に作れるもの。それを難しく捉えているから、アイデア作りにも失敗してしまうのです。

 アイデアを思い浮かべようとするときに、突飛な発想なんていりません。自分の頭で考えて、それをきちんと表に出すこと。これさえできれば、簡単にアイデアというものは作り出すことができます。

 極論してしまいますが、僕はこの世には「生まれ持った発想力がある人」「先天的にインスピレーションがある人」というのは存在しないと考えています。

 みなさんの周りにいる「アイデア力がある人」というのも、「自分の頭で考える」「それをきちんと表に出す」ということができているだけで、それは訓練すれば誰でも身につくものなのです。

 この本は、インスピレーションを高める本というわけではありません。技術的に、合理的に、「アイデア」を生み出すための本に他ならないのです。

 

東大が求めている能力は「自分で考える力」だった

「え~、そうは言っても、発想力が元からない自分には無理なんじゃないかなぁ」

「『自分の頭で考える』って、すごい苦手なんだよなぁ」

 という人もいるかもしれませんが、大丈夫です!

 なぜなら、僕も昔はそうだったからです。

 僕は「自分の頭で考える」ということが昔はなかなかできず、たとえば、文化祭のアイデア出しを求められたときなどにとても苦労したのをよく覚えています。

 そして、「自分の頭で考える」という能力を問うことを日本で一番求める大学、「東京大学」を目指し始めたとき、僕は非常に困りました。全然、東大の問題が解けなかったのです。

 東大が求めている能力というのは、「知識をたくさんインプットする能力」ではありません。

「知識をどう活用するか」という“知識の運用能力”つまりは「自分の頭で考えて発想する能力」です。

 これは東大の総長も語っていることですし、東大のアドミッションポリシー(入学者の受け入れ方針)でも語られていることです。

 それを裏づけるかのように、東大入試では「知識量」を問う問題はほとんど出題されません。

「この国の貿易額を答えなさい」「この世界史上の出来事の年号を答えなさい」など暗記力のみを求める問題というのはほとんど出題されず、「この国の貿易がどうしてこうなっているのか、その理由を考えて答えなさい」「この世界史上の問題が起こった原因を、その当時の背景を踏まえて答えなさい」など理由や原因を求める問題が出題されます。

 こういう問題に対応するために僕が身につけなければならなかったのが、“自分の頭で考えるアイデア力”です。

 偏差値35だった僕は2浪して、この能力を鍛えるためにいろいろ創意工夫をしたのです。

 そして、このとき身につけた「アイデア力」を活かして、僕は今さまざまな活動をしています。

 学生が地方創生の手伝いをする「ふるさとワーキングホリデー」という総務省の制度の拡充・実践をしたり、漫画『ドラゴン桜2』の作中の勉強法を考えたり、全国の高校で「ドラゴン桜式の勉強法」を行う『リアルドラゴン桜プロジェクト』を推進し、リクルートの『TOP GUN AWARD』に入選したり、自分で企画・執筆を行った書籍『東大読書』(東洋経済新報社)が19万部を売り上げたり……。

 そのどの活動を支えているのも、浪人生時代に身につけた“自分の頭で考えるアイデア力”なのです。

<第2回に続く>