「させていただきました症候群」になってない? あなたの印象を変える文章ダイエット術

ビジネス

公開日:2020/1/29

『言葉ダイエット メール、企画書、就職活動が変わる最強の文章術』(橋口幸生/宣伝会議)

 仕事でメールを書くのが苦手だ。特に、取引先に“言いにくいこと”を伝えるとき。こちらの主張はオブラートに包み、失礼のないように敬語を重ねていると、文章はどんどん冗長になっていく。相手からの返信も長文であれば、これまた読み解くのに苦労する。「結局、この人は何が言いたいんだろう?」と思うこともしばしばだ。余計な装飾が多いビジネス文章は、自分も相手も消耗させてしまう。
 
『言葉ダイエット メール、企画書、就職活動が変わる最強の文章術』(橋口幸生/宣伝会議)は、こうしたビジネスマンの悩みを解決する文章術の本だ。コピーライターである著者は、短い文章で表現をする言葉のプロ。ムダが多く、遠回りで読みづらいビジネスの文章をすっきりわかりやすくするには、何が必要なのだろうか?

■「書く」より「消す」ことが文章を決める

“言葉ダイエット”というタイトルの通り、本書のテーマは文章のムダをそぎ落とすこと。むずかしいのは、「書くこと」よりも、思い切って「消すこと」だ。頭にある書きたいもののうち、盛り込むべき内容を適切に取捨選択する。コピーライターの仕事も同じだそう。15秒のCMや、歩きながら一瞬しか見られないポスターに、少ない文字数で大きな印象を残さなくてはならない。どちらも、余計な言葉をそぎ落とす技術が必要なのだ。

■ムダな敬語、「させていただきました」症候群


「提案させていただいた企画について、ご相談させていただければ幸いです」

advertisement

 メールを打つ際、「させていただきました」を多用していないだろうか。筆者もつい使ってしまうのだが、何度も繰り返されるとかえって悪印象を与えてしまう。著者は、こうした表現の背後に「主張はしたいけど、嫌われたくない」という心理があると語る(なんとも耳が痛い…)。言いにくいことを伝えるときこそ、余計な敬語を省いて端的に伝えよう。

■こそあど言葉や接続語の連発禁止

「そのアイデアを、このプレゼンテーションで…」
「そのため、このような事例が…」

 文章をきちんと書こうとするが故に、つい生まれてしまうムダもある。「この」「その」といったこそあど言葉や、「しかし」「どういうことかと言うと」などの文章をつなぐ接続語だ。前の文章から意味がきちんとつながっているか不安だと、つい多めに使ってしまう。だが、こうした言葉は、省略しても案外意味が通じるもの。思い切ってカットすれば、文章は引き締まるはずだ。

 本書には他にも、「ひとつの文には、ひとつの内容だけ」「1文は、40~60文字以内」といった“ダイエット法”が満載だ。例文を添削していく形式で本文は進んでいくので、自分が実際にどういうポイントに気をつければよいかもわかりやすい。本書を参考に、ぜひスリムで読みやすい文章を書いてみよう。

文=中川凌(@ryo_nakagawa_7