生理痛はあたりまえではない! 不妊や病気が治る人は「血流」が違う

健康・美容

公開日:2020/2/7

『血流がすべて整う暮らし方』(堀江昭佳/サンマーク出版)

 人生うまくいく人と、うまくいかない人。病気が治る人と、治らない人。いったい何が違うのだろうか。その答えは「血流」にある、と主張する書籍が話題だ。予約のとれない漢方薬剤師・堀江昭佳さんの著書『血流がすべて整う暮らし方』(サンマーク出版)である。

 堀江さんは婦人科系が専門で、出雲大社の近くで90年以上続く漢方薬局には、不妊症、子宮内膜症、生理痛、冷え性などに悩む女性たちが駆け込んでくる。さんざん手を尽くして諦めかけていた人も堀江さんによって救われ、「長年悩んでいた病気が治りました」「48歳で赤ちゃんを授かりました」といった喜びの声が毎日届き、不妊で悩む人からの妊娠報告は累計1600名を超えた。「血流が増えた」ことによって体が整った人たちだという。

●なぜ血流が大切か?

 本書によれば、「血流」は全身をめぐる気血の流れ。漢方には「体があってこそ心がある」という考えがあり、気血の流れである「血流」が、喜びや悲しみといった心の動きの土台となる。だからこそ、体と心をすこやかに保つには血流を整えることが欠かせない。

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 血流を整えるポイントは、毎日の暮らしの中にある。1日の時間の使い方に注目してみよう。しっかりと食べて、ほどよく動き、十分に眠れているだろうか? 著者が言うには、疲れや睡眠不足を解消できていない生活は、人生で酔っ払い運転をしているのと同じ。「無意識のうちに人生に事故が起こり続けている」と言われてドキッとする人は多いと思う。

 著者は初回のカウンセリングでその人の1日の流れを必ず聞き、うまくいかない原因のほとんどはここで見つかるそうだ。不思議なことに、同じような漢方相談をしても、成功するのは生活を変えた人ばかりだという。「何かおかしい」と感じているのなら、生活を変えないことには始まらない。

 うまくいかないのは、やり方や性格に問題があるわけではなく、ネガティブな考え方や傾向を生み出す「血流の状態」を解消していないだけ、というのが著者の主張だ。自分に自信を持てないのも、ひとりだけ置いてけぼりになっている気がするのも、血流が悪くなっているサインなのである。

●生理不順がさまざまな悩みの原因に!

 では、普段の生活をどう変えればいいのか? 本書では、1日を時間ごとに区切ったおすすめの過ごし方や、季節ごとの養生法などを紹介。女性は、月経とのつきあい方に注目してほしい。

 下記のチェック項目であてはまるものがあるだろうか?

□生理痛がある
□レバー状の塊が出る
□経血がドロドロしている
□量が多い、もしくは極端に少ない
□色が黒っぽい、あるいは淡い

 ひとつでもあてはまった人は、女性の体のバランスが不安定になっており、婦人科系の疾患など何かしらの病気の原因が隠れている可能性がある。

 驚くのは「生理痛」があたりまえではない、ということ。女性の約4割がもつという生理痛の大きな要因は、子宮の冷え。子宮が冷えていると、生理で子宮内膜がはがれおちるときに酵素で分解できず、内膜がベリベリと無理やりはがされてしまう。経血に塊が混ざったり、必要以上に経血が多くなったりするのは、傷口から出血するためだ。

 子宮は止血しようとして収縮するのだが、冷えた状態から収縮をするのは、とつぜん全力疾走するのと同じ。筋肉が肉離れするのと同じように痛みが出て、それが生理痛となる。生理痛は「冷えと血流悪化が起こっている」という子宮からのSOSなのだ。

●簡単に冷えをとる「カイロサンドイッチ」

 冷えをとるために、本書ですすめるのは「カイロサンドイッチ」。子宮をはさむようにして、おへそ下の「丹田」に1枚、背中の「仙骨」に1枚、カイロをあてる方法だ。そのほか、生理用ナプキンを冷えの原因にもなる高分子吸収剤が使われていないものに変えるのも良い。普段からなるべく冷たいものをとらず、体を温めるスープや薬膳茶を積極的にとるのも効果的だ。

 ただし、これらは短期的な対応で、大事なのは「血流を増やすこと」。漢方や薬膳の世界で血を補う代表食材としてあげられる鶏肉は、脂身が少なく、お手ごろなお値段で利用しやすい。本書では、鶏肉の補血効果を十二分に発揮する「チキンスープ」の作り方が紹介されている。

 ただでさえ貧血になりやすい生理のときにしっかりと体を休め、血を増やしながら生理の状態を整えることが、女性の病気や不妊の改善につながる。

●不調の多さは、しあわせの伸びしろ

もしもあなたが今、毎日疲れを感じているのなら、それはあなたが十分頑張っているということにほかなりません。そんなに無理をしなくても、大丈夫です。

「不調の多さは、しあわせの伸びしろ」と著者は語る。「本当の意味での治癒」として目指すのは、病気を治すことや妊娠を促すことだけでなく、その人の人生そのものがよくなること。穏やかな気分で過ごせる生活がつづけば、その結果として病気や症状は消えていく。血流が整うと、人生の流れそのものが整っていくのである。

 心や体の悩みを抱えるのは、あたりまえのように語られることが多い。しかし本書を読めば、それは決してあたりまえではないことに気づく。穏やかな暮らしこそが、人間本来の姿なのだ。その気づきを得たときこそが、人生を整えるためのスタートライン。「何かおかしい」「なぜだかうまくいかない」と感じているのなら、本書を手に、自分の暮らしを見直してみてはいかがだろうか。

文=吉田有希