緑色なのに「青信号」と呼ばれるようになったワケ/日本人の9割が知らずに使っている日本語⑤
公開日:2020/2/10
ウソをつくなというとき、なぜ「ウソいえ!」と反対にいうの?
…外国人にそう聞かれたら、日本人としてきちんと答えられますか。いわれてみると確かに疑問だらけの「いつもの日本語」を再発見してみましょう!
雑学・豆知識としても役立つトピックを『日本人の9割が知らずに使っている日本語』(岩田亮子/青春出版社)から紹介します。
実際は緑色なのに なぜ「青」信号と言う?
日本語では、緑色のモノを「青い」と表現することが多くあります。例えば、ほうれん草や小松菜など緑色の野菜を「青菜」と呼んだり、緑色のリンゴを「青リンゴ」と言ったりします。信号機もその一つで、緑色なのに「青信号」と言います。
英語で青信号は「グリーン」と表現します。日本語ではどうして「緑信号」ではなく「青信号」なのでしょうか。
これには諸説あります。まずは、もともと日本には色を示す言葉が少なかったため、「青」や「緑」など寒色全体を指す言葉として「青」が使われていたためという説です。
昔の日本語では、「赤」、「青」、「白」、「黒」に「黄色」と「茶色」の6色が色を示す言葉でした。そのため、「青」が示す色の範囲が現在よりも幅広く、「緑色」でも「青」と呼んでいたというのです。青菜や青リンゴは、その名残といえるでしょう。
もう一つの説は、もともと「緑」は、色を示す言葉ではなく、新芽や若い枝を示す名詞、もしくは、「若々しい」や「みずみずしい」という意味の形容詞だったからというものです。「山の緑がいっせいに芽吹いた」などと使います。このように緑が色を示す言葉ではなかったため、色を示す「青」を使って青信号と呼ぶようになったとも考えられています。
さて、日本で初めて自動式信号機が設置された場所は東京・日比谷交差点で、1930年のこと。信号機が導入された当初から新聞では「青信号」と表現されていて、それが広まり定着したという説もあります。ところで、青信号の色の正式名称はなく、「青みがかった緑色」が近い表現とされています。
【次回に続く】