豊臣秀吉の暗殺未遂で釜茹での刑… 石川五右衛門の最期は作り話!?/『日本の歴史人物 悪人事典』⑤
公開日:2020/2/19
小説やマンガ、映画の世界では、 正義のために戦うヒーローがいれば かならず敵対する悪役がいます。 歴史上でも同じように、 世の中を動かしたスゴい偉人の裏には、いつの時代も悪人の存在がありました。だから、「悪人」を知れば 教科書にはのっていない歴史の秘密が見えてくるかも――? 大泥棒、独裁者、裏切り者、詐欺師、悪女、テロリスト… 日本史上の悪人40人が大集結! こわいけれど、おもしろい。「悪人」たちの世界へようこそ。
天下の大どろぼう! 時の天下人・豊臣秀吉の暗殺をねらう!
石川五右衛門
生没年:不明
享年:不明
出身地:不明
石川五右衛門は大どろぼう。子どものときからかしこくて武芸も得意でしたが、ウソつきで盗みをくり返す悪ガキでした。あるとき、父親におこないや態度を注意されると、逆ギレして両親をしばり上げ、金をうばって家出。やがて大勢の子分をしたがえ、多くの盗みを働くようになります。
さらに、いらいを受けて、天下人である豊臣秀吉の寝室にしのびこんで殺そうとしました! しかしこれは失敗して逮捕され、釜ゆでの刑で殺されてしまいます。釜ゆでの刑とは、グラグラとにえる大きな釜で罪人を煮殺すおそろしい刑です。五右衛門は死の間際に、「石川や 浜の真砂は尽くるとも 世に盗人の種は尽きせじ」という辞世の句※をさけんだといいます。「たとえ浜辺にある砂粒がすべて尽きたとしても、世の中にいるどろぼうが尽きることはない」という意味です。
しかし、じつは秀吉の時代の記録には、石川五右衛門という名前は一切出てきません。ただ、釜で煎られて殺されたどろぼうがいたという記録はあります。ようやく50年後に石川五右衛門という盗賊が煮殺されたという記述が出てきます。そして100年近く経つと、このようなお話がつくられるのです。
釜で殺されるという最後がショッキングなので、おもしろいと考えた作家たちがおしばいや物語の題材として創作したのではないかと考えられます。
用語解説
【辞世の句】この世を去るときによむ歌。