ポケモンGOは語るのではなく「やれ」。人から今すぐ評価されるためのプロへの近道
公開日:2020/2/13
筆者が社会人になってから、早いもので10カ月がすぎた。学生のころと大きく変わったのは、必ずしも「正しさ」が正解ではなくなったこと。学校では、テストの点数や論文の質がそのまま評価になった。だが、仕事の世界では、正しければ万事うまくいくわけではない。上司を正論で論破しても嫌われるだけだし、大きなことをするには根回しが必要だ。
本書『これからの会社員の教科書 社内外のあらゆる人から今すぐ評価されるプロの仕事マインド71』(田端信太郎/SBクリエイティブ)は、そんな社会でどう行動すべきかの指針を示してくれる1冊。社会人1~2年目のうちに読んでおけば、同期と差がつきそうだ。
■「どうすればいいですか?」ではなく「これでいいですか?」で訊く
社会人1年目は、わからないことだらけ。当然、上司や先輩に質問や確認する機会が多くなるが、そこで気を付けたいことがあるという。自信のない新人は、つい「どうすればいいですか?」と質問内容を丸投げしてしまう。すると、上司はどこから説明するべきかがわからず、負担が大きくなる。
こういうときは、自分なりの仮説をもって「クローズドクエスチョン(イエス/ノーで答えられる質問)」をしよう。イエスであれば、上司の返答は一言で済む。ノーであっても、新人の理解度が想像つくから、適切な指導をしてもらえるはずだ。
■ビジネスにおいて「本気で勝ちにいく」とは何か?
学生は、定期テストや論文など決められたルールの中で争う。そのため、社会に出てからもどこかで、フェアであるべき、正攻法で行くべきだと思ってしまいがち。だが、本気で成果を出したいのなら、もっと自由にやっていいという。たとえば、縁故で契約をとってもいいし、クライアントと飲んでコンペ前に情報を引き出したっていい。そうして出した結果も、会社への立派な貢献である。法律や倫理さえ破らなければ、ビジネスにおいて「やっちゃいけないこと」は案外少ないのだ。
■ポケモンGOを語るよりポケモンGOをやれ
書籍やインターネットでたくさんの情報を浴び、「自分の業界に精通してきたな」というとき、気を付けるべきことがある。それは、「生活者」としての実感だ。専門家として自分が作ったり売ったりしている製品・サービスに対して、何も知らない人だったらどう感じるか? それがわからなくなってしまったら、いい仕事はできないだろう。
だから、著者は「ポケモンGOを“やれ”」と語る。今世の中で何が流行っているのか、人は日々どんなことで悩んでいるのか――自分の中の「生活者」としての実感が、ビジネスのヒントを生む。
本書には他にも「プロは勝負どころで休まない」「おっさんはメンツが8割」「ランチをナメるな」など、組織で働く若手に向けた仕事論が多数載っている。もしかしたら、今どきの若者にとっては昭和臭いと感じるトピックもあるかもしれないが、本書に説得力があるのは、著者が『ブランド人になれ! 会社の奴隷解放宣言』(幻冬舎)などの著作もある田端信太郎氏だから。“個の時代”を象徴するような人物が、泥臭く組織を生き抜くための方法を語るエッセンスを吸収したい。
文=中川凌(@ryo_nakagawa_7)