【ひとめ惚れ大賞】顔ハメ看板は絶対にコンプリートできないのです『顔ハメ百景』塩谷朋之インタビュー
公開日:2020/2/21
僕が顔ハメ看板の魅力にとりつかれたのは20歳の頃でした。昼間は会社員として働いているのですが、出張の合間に全国の顔ハメ看板を撮り続け、これまでの合計だと4000点ほどでしょうか。出会った看板はグーグルマップにピン留めして管理しています。顔ハメは突然遭遇しうるので、即座に対応できるよう、つねにカメラと三脚をバッグに入れています。
撮影するうえで決めているのは、「必ず穴を埋めること」。顔ハメする箇所が複数あるようなときは、近くにいる方にお願いして必ず埋めるようにしています。完成度が違うんです。
顔ハメ看板って、世界のどこであっても、誰もが「それが何をするためのものなのか」理解できる不思議なもの。必要な技術も得意不得意もないから、誰でも参加できる。海外などでごく稀に料金を請求される場合もありますが、基本は誰かを喜ばせようという思いが詰まっているのがすばらしいと思います。
昭和の遺産のようなイメージがありますが、実は今のほうがずっと増えています。SNSと相性がいいんですよね。でもどこか、どうでもいいものとして扱われてしまうところもあり、そこも、なんだかいいですね。
第1弾に長崎を選んだのはなぜかといいますと、僕が半年に1回ほど訪れる機会がある土地という合理的な理由でして(笑)。でも長崎って、こういうことをやっていると、おもしろがってくれる人が多い土地柄だなと感じました。めったに断られることもありませんでしたし。
顔ハメ看板はいつの間にか消えたり増えたりする存在です。だから僕がいくら集めても、絶対にコンプリートできない。そんなところにも惹かれますね。
|| お話を訊いた人 ||
塩谷朋之さん
顔ハメ看板ニスト。会社員のかたわら15年にわたって全国の顔ハメ看板を訪ね歩く。著書に『顔ハメ看板ハマり道』がある。ツイッター(@shioya20)で随時、最新顔ハメ看板の情報を公開中。
取材・文/田中裕 写真/首藤幹夫