あなたの同僚は「使える人間」? サイコパスの闇技術を学んで、ヤバい人とは距離を置こう
公開日:2020/2/15
「君は会社で身動きが取れないと感じているサイコパスだろうか? 自分は無力で、攻撃に曝されていると感じているだろうか? そのはずだ。何故ならこの時代は、君にとって危険だからな」
──脚本家P・T・エリオット氏は、『サイコパスのすすめ 人と社会を操作する闇の技術』(P・T・エリオット:著、松田和也:訳/青土社)の冒頭で、サイコパスの人々にこう問いかける。
本書は全編にわたってサイコパスに語りかけるような口調で書かれている衝撃的な“人生ガイド”だ。「恐怖や罪悪感に縛られない」という特徴を持つサイコパスが、どう他人を利用して欲しいものを手に入れていくのかという方法も示されている。これは単にサイコパスの人向けというだけでなく、そうでない人々がサイコパスの本性や振る舞い方を知るためのガイドでもあるのだ。
本書によると、心理学者ロバート・D・ヘアは1993年に著書『診断名サイコパス』で、サイコパスは情緒・人間関係において以下のような6つの特徴を持つと説いた。
・口達者で皮相的
・自己中心的で傲慢
・良心の呵責や罪悪感の欠如
・共感能力の欠如
・狡猾、他者を操作する
・浅い感情
加えて、サイコパスは以下のような6つの特性を示すという。
・衝動的
・行動をコントロールすることが苦手
・興奮がないとやっていけない
・責任感の欠如
・幼い頃の問題行動
・成人してからの反社会的行動
恐怖や罪悪感、あるいは良心に縛られないサイコパスは、場合によっては汚いと思われるような方法を使っても欲しいものを手に入れる力を持っている、と本書は語る。
■あなたの身近にもいるかもしれない? サイコパスの行動様式
本書ではこんな「サイコパスのすすめ」も説かれている。会社の同僚や上司で「誰が自分の役に立つか/邪魔になるか」などを見極めてカテゴライズするという方法だ。同僚や上司が持つ「愛着のスタイル」「モチベーションのスタイル」「世界観」などを観察して、自分にとっての“使い方”を決めるというのだ。
たとえば、「愛着のスタイル」が“かまってちゃん”タイプの人物は、付き合うのは面倒だが、決まり切ったわかりやすいポジティブな仕事を与えておくと扱いやすい──といった具合だ。
本書はサイコパスである人々に語りかけるような皮肉っぽい口調で構成されているが、私たちの身の回りにいるかもしれない“ヤバい人”と上手に付き合う糸口にもなりそうだ。本書によると、「人生の成功者の多くはサイコパス」という言説があるという。あなたの会社や付き合うコミュニティの中にも“ヤバいけどうまくいってる人”がいるかもしれない。ひょっとしたら、彼らの成功の裏には“良心の呵責や罪悪感の欠如”があるのかもしれないのだ…。
そんなサイコパスから被害を受けないためには、どうしたらよいだろうか? ひとつは、彼らから受ける要求を真に受けすぎないこと。良心を無視するスタイルで放たれる言葉や指示は“普通”ではない場合もあるから、まじめに受けてダメージを受けなくてもいいと知っておいたほうがいい。もうひとつは、彼らから“構われない”ような存在になることだろう。彼らに助けを求めたりせず、自分の弱みを見せずにいれば、彼らに利用されることは減らせるだろう。
本書が紹介する“人と社会を操作する闇の技術”は、サイコパスにとってはうってつけのもの。これによって会社やグループ全体がかき乱されてしまうのだ。世の中にはさまざまな人生ガイドがあるが、サイコパスに焦点を当てた本書の視点はかなり珍しいものだろう。この刺激的な1冊を毒にするか薬にするかは、あなた次第である。
文=ジョセート