人の心をつかむコツが『論語』にあった! 今のうちに学び直したい「中国古典」の活用法
更新日:2020/2/19
時代やジャンルを超え、世の指導者たちに愛され続ける中国古典。『孫子』をはじめ、『論語』や『史記』、『三国志』など、一度は聞いたことがあるはず。「君子、危うきに近寄らず」、「先んずれば人を制す」などの名言もよく聞くだろう。
しかし、そこに込められた本当の意味や背景は意外と知られていない。内容や意味を知らないと、せっかくの金言も宝の持ち腐れだ。そんなときは、『中国古典 名著の読みどころ、使いどころ 人生とビジネスに効く原理原則』(守屋淳/PHP研究所)を読んでほしい。中国古典の背景やポイントを理解し、人生やビジネスに生かすコツを教えてくれるはずだ。
ここでは、本書の中から特に印象深いトピックを紹介しよう。
人の上に立つなら、『論語』から上司の“お手本”を学ぶべし!
「上司と部下の板挟み」や「部下を育てる難しさ」など、人をまとめる“管理職”に悩みは尽きない。上司として、どのように振る舞えばいいのだろう? それを学ぶのにオススメなのが『論語』だ。理想のリーダー像を表すこんな言葉がある。
「君子は義に喩(さと)り、小人は利に喩る」(『論語』里仁篇)
言葉の意味は「行動するときに、国民の利益を優先させるのが君主であり、自分の利益を優先させるのが小人である」ということ。
面倒見が良く、忙しいときでも相談にのってくれる上司と、部下に仕事を任せきりで、プライベートを優先する上司。どちらの上司と一緒に仕事がしたいかと言われれば、前者を選ぶ人が多いだろう。
いざ自分が上司になるとき、なにを目指せばよいのか。それを考えるには“目標”が必要となる。『論語』に書かれるのは、人としての“お手本”。学べばきっと人から慕われるヒントをつかめるはず。
成功の極意は「戦わずして勝つ」!? 競争に勝つための方法は『孫子』に学べ!
中国古典のなかでも世界中で愛読されているのが『孫子』。分かりやすいロジカルな考え方は、ビジネスとも相性が良く、名だたる経営者たちに親しまれている。
たとえば、ソフトバンクグループの社長・孫正義氏も『孫子』に感銘を受けたひとり。1990年代末頃からM&Aを多用し企業を拡大してきた。この戦略のもととなったのが、孫子の次の言葉だという。
「百戦百勝は善の善なるものに非(あら)ず。戦わずして人の兵を屈するは善の善なるものなり」(『孫子』謀攻篇)
これは「百回戦って百回勝っても最善とは言えない。戦わないで相手を屈服させることこそが最善である」という意味。戦わずして勝つ、それこそが兵法の真骨頂。ぐうの音も出ない至言だ。
「一生懸命努力しているのに結果が出ない」
「やっていることが無意味に感じられ、日々空回りしている気がする」
そんなときは、思い切って人にお願いしてしまうのもひとつの手。『孫子』にはこの他にも、「自分が得意な土俵のうえで戦う」「最大のチャンスは敵が攻めに転じようとしたとき」「ピンチのあとにチャンスがやってくる」など現代のビジネスにも通じる考え方が多数ある。
本書は他にも、過去の失敗や教訓が書かれた『孟子』『荀子』『史記』『三国志』などに関するトピックも多数掲載。自分の人生やビジネスに役立つ“新しい気付き”が得られるはずだ。
古典に興味があったけど読む機会がなかったという方はもちろんのこと、自分をワンランクアップさせたい方にもオススメだ。
文=冴島友貴