安住紳一郎が秘伝公開! オチのない話を上手にまとめる「話し方のツボ」
公開日:2020/3/27
話がうまくなりたい。そう思っていても、「自分には無理」と諦めている人は多いのではないだろうか? 会話のスキルは、“勉強するもの”という意識がない。同僚や友人に、「この人の話はおもしろい」「なんとなく感じがいい」と思う人がいても、何がそうさせているのか漠然としていてよくわからない。だから、真似することもむずかしいのだ。
だが、テレビで活躍するようなしゃべりのプロは、「おもしろさ」「感じのよさ」を徹底的に研究しているという。彼らが日々心掛けていることを知れば、「なんとなく」の部分を言語化できるようになるだろう。『話すチカラ』(齋藤孝、安住紳一郎/ダイヤモンド社)は、まさにこのポイントを解明する“プロ”による1冊だ。著者は、明治大学文学部教授の齋藤孝先生と、実はその教え子だというTBSの安住紳一郎アナウンサー。飲みの席でのたわいもない雑談から、プレゼンや交渉の場における会話まで、いろいろな場面ですぐに役立ちそうな会話術が詰まっている。
話のオチがつかないときは、●●で落とす!
飲み会などで「オチのある話をしなきゃ」とプレッシャーに感じたことはないだろうか。だが、話しているうちにまとまりがなくなってしまい、周りから「で、オチは?(笑)」と笑われる…。そうなると、どんどん話すことに臆病になってしまうことも。
安住アナには、話のオチがどうにもつかなそうなとき、よく使う手があるという。それは「情報で落とす」という方法だ。
例えば、「会社の近所に新しい定食屋ができたらしいよ」という話題であれば、「あの店は、昼・夜通して営業している」「割引チケットがスマホでダウンロードできる」といった情報を伝えると、話題に納得がいくので、なんとなくオチがついたような空気になる。実際、安住アナも紹介をするときには情報で締めることが多いという。
気持ちよく褒めるために必要なモノは?
コミュニケーションをうまく進めるためには「褒める」ことが有効だとよくいわれる。安住アナは、人と食事に出かけるときには、必ず「今日はとても楽しかったです」というそうだ。社交辞令だとしても、受け取った側はうれしくなるから、人間関係は良くなるだろう。
だが、いざ「褒めよう」と意気込むと、案外それがむずかしいことに気づく。見当違いのことをいってしまわないか、「媚びている」と思われないかなど不安になってしまうのだ。
齋藤先生は、褒めるときに「共感」を意識するとよいと語る。具体的には、相手の技術や要素を分析するような褒め方よりも、自分が受けた“影響”にスポットを当てる。例えば、「これは素晴らしい料理ですね」と褒めるのではなく、「この料理、ホントにおいしかったです」と共感してみるのだ。比べてみると後者のほうが、心理的な距離が縮まりそうな気がしてくるだろう。
本書ではこの他にも「語尾に曖昧な言葉を使わない」「自慢と卑下の使い分け」「流行りものと偏愛するもの」など、真似することができればさまざまな場面で生かせそうな会話のポイントが紹介されている。
とはいえ、頭でわかっているつもりでも、とっさの会話ですぐに出るわけではない。本書で理屈を理解したら、どんどん実際に「使ってみる」ことを意識してみたい。はじめはスベることもあるかもしれないが、数をこなすうちに身になってくるはず。気づけば、周りから「なぜだかおもしろい人」「感じのいい人」と思われるようになっている…かもしれない。
文=中川凌(@ryo_nakagawa_7)