エロコンテンツが性の入り口になる前に…3~9歳のうちに家庭でできる性教育
更新日:2020/4/1
性教育を広める活動をおこなう医師夫婦・アクロストンの初めての著書『3~9歳ではじめるアクロストン式 赤ちゃんってどうやってできるの? いま、子どもに伝えたい性のQ&A』(主婦の友社)が発売された。ウェブ上の投稿サービス『note』に綴った“男子のための生理(月経)教室を開催しました!”がSNSで拡散されるなど、いま注目の著者が初の著書に込めた思いを語った。
わが子への性教育のためにコンテンツを作ったのがきっかけ
このたび主婦の友社より『3~9歳ではじめるアクロストン式 赤ちゃんってどうやってできるの? いま、子どもに伝えたい性のQ&A』という性教育の書籍を出版することになりました。私達は医師2人のユニットで週末などに性教育を楽しく学ぶ工作ワークショップや学校での授業を実施しています(平日は2人とも医師として働いています)。一緒に家庭を築くパートナーでもあり、8歳と10歳の子どもの母と父でもあります。
私達の性教育は、自分達の子ども達への性教育をどうしようか、と悩んだところからスタートしました。インターネット上には性的なコンテンツがたくさんあり、容易にアクセスできる今、そういったもので性を学んでしまう前に、性の正しい知識を身に付けなくてはいけないのではないかと思ったからです。
それから国内外の様々な性教育のリサーチを開始。すると、日本の公教育での性教育が完全に世界のスタンダードからは取り残されていること、社会的にも性教育の重要さの認識が日本は薄く、子ども向けの良質なコンテンツがたくさんあるわけではないことを知り、自分達で教材をつくってワークショップをはじめることにしたのです。
そもそも性教育って何でしょう?
性教育とは何なのでしょう。生理について?セックスについて?妊娠について?
「性教育というのは我々の年代では教えてもらったことありませんが、知らないうちに自然に一通りのことは覚えちゃうんですね。」
これは15年前の日本の首相の言葉です。
「子どもは性のことを勝手に覚えていくからわざわざ教えなくてもいい。」
「性の知識を身に付けると早く性行為をしたくなる」
こんな声は、今も聞こえてきます。残念ながら、性教育とは何なのかがわかっていない発言のようです。性教育は単純に性器の名称、射精、生理(月経)、性交渉を教えるだけのものではないのです。
ユネスコは性教育のガイドラインを出していて、その中で「包括的な(comprehensive)」性教育の重要性を唱えています。
このガイドラインで扱うのは体の発達、生殖、健康、人権、家族・友人・恋人との関係性の築き方、性暴力、ジェンダー、文化的背景、メディアリテラシーなど多岐にわたります。一方、日本の公教育の保健での性教育の守備範囲は主に体の発達と生殖ぐらい。いかに狭い分野しかやっていないのかが分かります。
こんなに家庭でやるなんて大変すぎる!!と思われるでしょうか。実際、これを全部やるのは大変です。でも、「からだをきれいに洗おう」というのも性教育。「自分のからだもお友達のからだも大切にしよう」というのも性教育。性の話は特別なことではなく、日常生活の中に溶け込んでいます。3~9歳のお子さんがいる家庭での性教育の目標は、ユネスコのガイドラインを全部満たすことではなくて、家庭内で性の話をし続けられる土台をつくることだと考えています。生理も射精もセルフプレジャー(自慰)もセックスも、マナーやルールはあるけれど恥ずかしいことではなく当然のことであり、困ったら相談をしても良いのだということを子ども達が理解できると良いと思います。