エロコンテンツが性の入り口になる前に…3~9歳のうちに家庭でできる性教育
更新日:2020/4/1
何歳から性教育を始めればいいのか
ユネスコが提唱している性教育は範囲が広いだけではありません。こども達の年齢に応じて内容を変えていくように学習内容が組まれており、スタート年齢は5歳からです。私達は明確に「何歳から性教育をスタートするべき」と年齢に線引きはしませんが、性教育が必要だと感じたその時からすぐにはじめて欲しいです。
というのも、日本はアダルトコンテンツの天国です。スマホで無料のアダルト動画を観られますし、本もDVDも簡単に手に入ります。年齢認証を課しているところもありますが、「18歳以上ですか?」の問いに「はい」と答えれば良いだけ。性的に歪んだ情報に晒されてる状況が子どもにとって良い状況とは思えません。
小学校高学年からセックスをする子も出てきます。そして日本の刑法における性的同意年齢は13歳。この年齢の設定自体が大きな問題なのですが、小中学校の学習要綱に性交渉は含まれていません。歪んだ性の情報には簡単にアクセスできるのに、正しい知識を得ていない。こんな状況で「性的同意が可能」とされることはとても危険です。
また、みなさんも記憶にあるかもしれませんが、思春期に突入してから突然性の話を大人から言われても恥ずかしさで大人の声は耳に入らない子もいます。そして何より、性教育は子どもが小さければ小さいほど親はラクです。小さい子どもたちにとって性の話とそのほかの話の区別はありません。そのような時期からおうちで性の話を始めるのが、子どもにとっては恥ずかしがらずに繰り返し話を聞くことができ、大人にとっては気恥ずかしさを伴わずに説明がしやすいです。
やり方はこんな感じです。0歳のころなら、おむつ替えのときには「おちんちんきれいにしようね」「おまたは前からふくんだよ」など繰り返して話すだけでOK。1~2歳ころからは、お風呂に入りながらプライベートゾーンについて話すのもよいでしょう。3歳ころになると自身や周りのお友達に妹や弟が生まれることも増えてきます。すると、「赤ちゃんはどこからくるの?」「どうやって生まれてきたの?」などと聞いてくることがあります。これはチャンス! 一度にすべてを伝える必要はないので、ゆっくりと、そのときの理解度に応じて話ができるといいです。それ以降も10歳ころまでは、子どもたちは性の話に対しての抵抗感はあまりありません。この時期までにおうちで性の話をする習慣がついていると、子どもは思春期以降に性のことで困ったことがあったときに、親に相談をしやすくなります。
性教育と防犯
保護者が性教育を意識するきっかけは防犯を考えてのことが多いようです。実際、私達のワークショップでも「性犯罪にあわないためにはどうしたらよいでしょうか」という質問をよくされます。これに対する私達の答えは「社会を変えよう」です。
私達も自分のこども達が性犯罪にあって欲しくないともちろん強く思っていますし、公共の場でトイレに行くときは一緒に行き、嫌なことを誰かにされたら私達に話すようにも伝えています。でも、これで防げる可能性はとても小さい。そもそも被害者側にできることなんてほぼなくて、どんな状況であっても100%被害者やその家族に責任はない。100%悪いのは加害者側です。なので、加害者が出ない社会をつくらない限りは、自分のこども達が安全に暮らしていくことは不可能であると考えています。
私達が性教育を自分の子ども達だけではなく、広げていこうとしているのは、性の正しい知識を持つ人が一人でも増えることで加害者が出にくくなっていくからです。本当は全員にしっかりとした性教育を公教育でやってほしい。そのための働きかけもしていきたいと思っていますが、今は性の知識をしっかり持った子を一人でも多く増やしたいです。
思春期以降は親や教師の影響よりも、同世代の仲間の影響を強く受けていきます。その時に、まわりの友達から得た間違った性の知識を信じないように、まわりの友達に正しいことを教えてあげられるように、そんな子を一人でも多く増やしていきたいと思って今回の書籍も書きました。